米ペプシのWeb CMがアメリカで炎上していた件について、同社は「明らかにまと外れなものだった」と謝罪し、動画を取り下げました。Black Lives Matter運動を連想させるデモ隊の女性が警官にペプシを手渡し、拍手喝采の楽しげなムードで終わる展開が実情と乖離しているとして批判を呼んでいました。
CMではセレブ女優のケンダル・ジェンナーさん演じるモデル役の女性が、撮影中にデモ行進に遭遇。最初は撮影を続行しようとしますが、デモの様子が気になり、ついには自身もデモに参加。笑顔でペプシの缶を手に取ると、それを警備にあたっていた警察官に手渡します。警官はペプシをゴクリ。様子を見ていたデモ隊から歓声が上がります。この内容に対し、「Black Lives Matter運動を商業的に利用している」「問題を矮小化している」といった声が続出。こうした批判は女優のケンダルさんにまで及びました。
2016年に無実の黒人男性、アルトン・スターリングさんが警官に取り押さえられ、その場で射殺された事件で一気に加熱したBlack Lives Matter運動。「黒人の命も(白人と同様に)大切だ」というメッセージを掲げたデモは全米に広がり、各地で警官隊との衝突も発生しました。CMではケンダルさんがペプシを手渡す際の構図が、実際のデモ中に取り押さえられた女性の写真に類似していた点も火に油を注ぎました。
Twitterユーザーからは「ペプシさえあれば社会問題も丸くおさまる」と皮肉るツイートも多数投稿されています。CMが公開された4月4日はマーティン・ルーサー・キングさんの命日だったこともあり、娘のバーニス・キングさんが投稿した「パパがペプシの力を知ってさえいれば」というツイートは11万5000回以上リツイートされました。
米ペプシは4月6日の未明(日本時間)にTwitterで「深刻な問題を軽んずる意図はありませんでした」として、謝罪文を掲載。批判の矛先が向けられてしまったケンダルさんに対しても謝罪しました。同ツイートは現在1万回以上リツイートされています。「いいね」の数も1万8000回を超えていることから、謝罪を好意的に受け止めている人が相当数いたと思われる一方、「どちらにせよコカ・コーラのほうが好きです」といった煽りリプライで反応している人も複数見受けられました。
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