アメリカのユナイテッド航空3411便で、座席が足りないため機内からおりるよう要請された69歳のアジア人男性が拒否したため警察によって暴力的に機内から引きずりおろされるという衝撃的な動画が、居合わせた乗客たちによって投稿されメディアやSNSで拡散されています。
ユナイテッド航空は到着先への移動が必要な4人の自社乗務員の座席を確保できておらず、オーバーブックのような状況を招いてしまったため800ドルとホテルへの宿泊を条件に乗客が自主的に降機することを望みましたが、誰も挙手しなかったためにコンピューターで4人をランダムに選んだとのこと。当該男性は医師で、翌日も患者を抱えていたために拒否したところ、シカゴ市警察が呼ばれ暴力的に強行されてしまいました。動画には機内の床を引きずられていく男性の呆然とした表情と、それを見るほかの乗客たちの緊迫した空気が記録されています。
強制的に降機させられたあとで、男性は機内へ戻ってきます。しかし「家に帰る、家に帰る」と繰り返しながら通路を駆けたあと、機内のカーテンにしがみつきながら「殺される、殺される」とつぶやく様子はあきらかにショック状態。おろされるときに座席の手すりに強く顔をぶつけたため、顔面から流血しておりとても痛々しい様子です。
その後ユナイテッド航空のCEOは、公式サイトやSNSで「今回のことはユナイテッド航空にとって気が動転するような出来事でした。(4人の)乗客に(座席の)再調節をさせてしまったことを謝罪いたします」とコメントを出しましたが、これがさらに人びとの怒りを招くことになりました。ユナイテッド航空のチームは詳細を把握すべく急速に動いており、乗客とも直接コンタクトを取るとしていますが、謝罪は乗客の搭乗変更に対してなされたに留まり男性への暴力的な対応には何もコメントされませんでした。
Twitter上ではこれに対し、「飛行機の床にドクターを引きずったことがただの『再調整』だっていうのか?」などと憤るコメントが殺到し、ユナイテッド航空の利用をやめようと呼びかける「♯BoycottUnited」「♯BoycottUnitedAirlines」のタグが拡散されています。
ユナイテッド航空は以前にもレギンスを着用した少女を「適切な服装でない」という理由で搭乗拒否するなどネガティブな出来事が続いています(関連記事)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 米ユナイテッド航空CEO、乗客を引きずり下ろした問題で謝罪
再発防止のために規定を見直すことも明らかに。 - ユナイテッド航空で話題の「オーバーブッキング」、日本で起こった場合は? JALとANAに対応を聞く
米ユナイテッド航空で起こった過剰予約による乗客の強制連行事件。日本の場合どうなるのでしょうか。 - レギンスはいた少女の搭乗拒否 ユナイテッド航空に批判
レギンスをはいた少女の搭乗を拒否したユナイテッド航空に、「いつからユナイテッド航空は女性の服装を取り締まるようになったのか」と批判が寄せられました。 - なぜ? 米版VOGUE誌で日本人の格好で撮影された写真に批判、モデルが「文化を横取りした」と謝罪へ
「多様性」を打ち出した表紙も人種差別的だと批判されました。 - 「燃やす」「娼婦」 ハリポタ作家J.K.ローリング、トランプ支持者から猛攻撃を受けるも華麗な切り返しが話題に
相手が悪すぎた。 - 外国人客などに対しわさびを大量に入れていた大阪府の寿司チェーンが物議 人種差別的な意図はなかったと釈明
以前から「Too much WASABI(わさびが多すぎる)」などの口コミが投稿されていました。 - ルール破る例が黒人ばかり? プールの安全ポスターに人種差別の指摘、米赤十字社が謝罪
ポスターはすべて撤去することに。