ネカマって悪だと思う? 良いネカマ、悪いネカマって何?
「いろいろ聞いてきたのだけど、僕として1つ聞きたいことがあって……正直ネカマって悪だと思う?」
「悪……ですか。やしろさんはどう思ってます?」
「史上最悪の悪だと思ってます」
「ですよね」
「だって、基本的に人をだましてるわけじゃないですか! 私は女の子でーす! って。中身はよく分からんオッサンのクセに女性をかたって女性プレイヤーとしての恩恵を受けてさ、あげ句の果てにはゲーム内で何人もの男を手駒にとってアイテム貢がせたり、結婚システムを悪用して結婚詐欺紛いのことをしたり……悪でしょ! どう考えても!!」
「まあ、基本的にネトゲの世界の男性は女性プレイヤーに優しいですからね……」
「本当だよ! 俺もちょっとネカマをやってみたとき、明らかに周りの男性プレイヤーからの扱いが今までと違ったからね。何もしてないのにお金もアイテムも増えていくの。なんでこんな皆女性プレイヤーに優しいの?」
「童貞が多いからじゃないですか?」
「納得した」
「悪かどうかの話に戻るんですが、確かにネカマは常に他人をだましているということにはなりますね……でも、だからネカマは全て悪だとは思ってほしくないです……。良いネカマだっているということをやしろさんには知ってもらいたいですね」
「ふむ……さっき言ってた良いネカマと悪いネカマがいるって話かな」
「そうです。これは僕の考えなのですが、ネカマって2種類いると思っているんです。1つは『純粋に女性を演じるのが楽しい人』。これは周りに危害を加えない、ただ自分がネトゲを楽しむための手法の1つとしてネカマを演じているタイプで、『良いネカマ』です」
「もう1つは『女性だと勘違いさせるのが楽しい人』。これは甘い誘惑で男性から(ゲーム内の)金品をだまし取ることを初めから目的としてネカマを始めたタイプで、『悪いネカマ』です。」
「なるほど」
「悪いネカマは言ってしまえば詐欺師のようなものなので完全に悪ですが、良いネカマはロールプレイの一貫として女性になりきっているので悪とはいえないんじゃないかなぁと……」
「なるほど……それは分かりました。確かにどうプレイするかなんて人それぞれだもんな……でも! でもですよ!! 『良いネカマ』の人だって本人は女性として平和にロールプレイをしているつもりでも、そこで出会った男性に好かれちゃうかもしれないんですよ!?」
「まあ……それは確かにそうですね」
「好きになっちゃった人はその人に振り向いてもらおうと必死になりますよ!? しかも恋愛慣れしてない中学生とかだったら余計に……もう毎日がワクワクドキドキで……何をしたら喜んでくれるのかなとか、まだ見たことのない相手の顔を想像して、いつの日か会えることを願って……それで蓋を開けたら相手が良い歳したおっさんですよ!? 全ての時間が無駄になる!! 中学生という貴重な青春時代に使った時間全て!! これは悪じゃないんですか!? 悪とは言わないんですか!!??」
「……まあ、それは確かに……というか自分のこと言ってます?」
「お母さんに彼女ができそうとか報告しちゃった僕の気持ち考えたことあるんですか!?」
「お母さんに報告しちゃったんだ……」
「いや、やしろさんの言いたいことはすごくよく分かります。なんというかすいませんでした……。これは『良いネカマ』の先輩からの受け売りなのですが、『異性として興味を持たれる前に引く』ことを心掛けるようにネカマをやっていくことが良いネカマでいるために重要なことだと思っているんです」
「惚(ほ)れさせないようにするってこと? というかそこまでするなら私本当は男だけど女のフリするからそこんとこよろしくね! って最初に言っちゃえばよくない?」
「正体がバレたらゲームオーバーなので。いや、それやってる人ももちろんいるとは思いますが」
「人里に紛れ込む魔物か何かかよ」
「やっぱり惚れられてしまったら、やしろさんが言っていた通りに相手に無駄な時間、努力、その他もろもろを使わせてしまうじゃないですか……。それは僕ら的にもやはり『悪』だと思います。だから決して相手の気を引くような行動はしない。もしそれでも相手が押してきたら、適度に引く、時には冷静に突き放す……このような意思を持って誰も不幸にしないようにネカマとしてのロールプレイをしていけるよう努力しているんです、良いネカマは!」
「いや、私貴方に惚れましたけど?? しかも結構気を引くような発言とかされた結果惚れましたけど???? え????」
「それは完全に僕が悪いです。すいませんでした」
「あっ、認めるんだ」
「……これは言わないでおこうと思っていたんですが、あのころちょっと『悪のネカマ』にも足を踏み入れていまして……。実はやしろさんをこっぴどく振ったあと、1年ぐらいは悪のネカマとして活動してたんですよね……」
「こっぴどく振ったとか言うなよ……」
「悪のネカマの言葉として『友達以上恋人未満をキープできてこそ一人前のネカマ』という言葉がありまして……。自分に惚れてきた相手を恋人にしちゃって長期的に搾り取っていくのも良いのですが、友達以上恋人未満な男性を多数キープしておいたほうが多方面から貢がれて結果稼ぎが良いんですよね。だからうまく相手をコントロールして恋人一歩手前ぐらいて止めておくという」
「確かにそんな感じだったなーーーーーあーーー死にたいなーーーーー」
「まあ、その後またすぐ改心して、今は良いネカマでいれるよう常に気を張っているんですけど……! というわけで当時は中途半端に悪のネカマとしての心も持ち合わせていた結果、純粋な中学生だったやしろさんをだましてしまうことになって……本当にごめんなさい。めっちゃ楽しかったです」
「最後なんつったコラ」
「……まあ、まあいいや。なんか謝ってもらえて長年突っかかってた何かが消えた気がする……うん、良かったよ話せて」
「そう言ってもらえるとありがたいです……。ネカマは確かに人をだまして生活しています。けど、先ほど話したようにできるだけ人を不幸にしないよう、変な勘違いをされないように心掛けて活動しているネカマもいるということだけ忘れないでいただけるとうれしいです!」
はい。前編は以上となります。
どうでしたでしょうか皆さま。僕は死にたいです。
この記事、まだ続きます。後編はこの記事を読みながら、
「ネカマ怖い! 今仲良くしてるあの子ももしかして……?」
とか、
「どうやったら悪のネカマのカモになるのを防げるの!?」
などと思った方のために実際に良いネカマ、悪のネカマ両方を身をもって体験したCeciliaにこんな行動をする女性キャラクターはネカマの確率が高いかも!? 悪のネカマの手法、そしてネカマを見破る最強の方法などを聞いていきたいと思います!! 必見!
それでは!
この記事でさらした僕の過去について突っ込んでくるのは本当にやめてください。
後編
やしろあずきの調査―― ネット上で女性を演じる「ネカマ」って何なの!? 昔自分をだましたネカマと直接対決してみた(後編)
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