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「ブランコ」「稲妻」「ラグビー」……がいつの季語だか知ってる?

ブランコ、稲妻、ラグビー、全て俳句の季語なのです。

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 5月です。すっかり夏めいてきて、昼間は汗ばむ陽気のことも増えてきましたね。それもそのはず、5月初旬には二十四節気の1つ「立夏」がやってきます。ちなみに2017年の立夏は5月5日。暦の上ではもう夏なんですね。

 季節といえば、ことばの世界にも、季節が大切な分野があります。

 そう、俳句です。

 俳句には、季節を表すことば“季語”が必要である、ということは皆さんご存じでしょう。例えば「紅葉」が秋の、「雪」が冬の季語であることは、誰でも容易に分かることです。

 では、突然ですが「ブランコ」は? 外国人助っ人ではなく、公園などにある遊具のブランコです。一見何の季節感も覚えないようなアイテムにも、実はしっかりと季語として季節が設定されているのです。

 今回は、各季節からそれぞれ「えっそこなの?」となるような季語を紹介します。

ブランコ

 「ブランコ」は、の季語。

 古代中国では冬至から105日目(現在の暦では4月初め)を「寒食節」と呼び、火を使わずに冷たい食事をする習慣がありました。ブランコはもともとその日に行われる遊びだったので、春の季語になったといわれています。

 ちなみに、ブランコは漢字では「鞦韆」や「秋千」と書きます。まぎらわしい……。

 「ブランコ」以外にも、意外な季語というものは無数にあります。俳句というとお堅いイメージがつきまといますが、現代風の言葉も多く季語になっているのです。

 ここからは、各季節の意外な風物詩を紹介していきましょう。

ボートレース

 「ボートレース」はの季語。

 このボートレースは、競艇ではなくボート競技(競漕)のこと。毎年4月に行われる「早慶レガッタ」が有名なため、春の季語になりました。

競漕や午後の風波立ちわたり

――水原秋桜子(みずはら・しゅうおうし)

ビール

 「ビール」はの季語。

 いつ飲んでもおいしいビールですが、夏の暑い日に飲む冷えたビールは格別ですよね。……いや、本当にそういう理由で季語になったんですよ。

遠近の灯りそめたるビールかな

――久保田万太郎

稲妻

 「稲妻」はの季語。

 そもそも、雷の光が稲を実らせると信じられていたため、「稲妻」と呼ばれるようになりました。語源を考えると、秋の季語なのも納得です。

 ちなみに、「雷」は夏の季語。日本では夏に雷が多いから、なのですが、「雷」と「稲妻」の季節が違うのはなんだか不思議ですね。

いなづまやきのふは東けふは西

――宝井其角(たからい・きかく)

ラグビー

 ラグビー」はの季語。

 ラグビーのメインシーズンは冬。以下に挙げたように、山口誓子(やまぐち・せいし)が多く詠んだことから季語として定着したんだとか。

ラグビーの肉搏(う)つひびき吾が聞きぬ

――山口誓子


 普段何げなく使っている言葉にも、隠れた季節が決められています。これを機会に季語の面白さを追求してみませんか?

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