映画「マイティ・ソー」シリーズの最新作「THOR RAGNAROK」(読み:ソー ラグナロク)の邦題が「マイティ・ソー バトルロイヤル」に決定したことが、Twitterで「原作の世界観を崩す改悪例ではないか」と物議を醸しています。5月10日午前には一時、「ラグナロク」「バトルロイヤル」の2語がTwitterのトレンドワードに入る事態となりました。
同作は11月3日に日米同時公開される、マーベル・スタジオの最新作。アメコミ「マイティ・ソー」の実写化作品「マイティ・ソー/ダーク・ワールド」に続くシリーズ第3作目であり、「アイアンマン」「キャプテン・アメリカ」などあらゆるマーベル・コミックス作品を同一の世界観で扱う「マーベル・シネマティック・ユニバース[フェーズ 3]」の第5弾にあたります。
アスガルド(神の世界)から追放されて地球で囚われの身になりながらも、ヒーローチーム「アベンジャーズ」の一員として戦ってきたマイティ・ソーが、地球を脱出するためにこの星のチャンピオンとの命がけの戦いに挑むストーリー。敵対するチャンピオンがアベンジャーズの仲間、ハルクであることが分かっており、4月に公開されたアメリカ版予告動画は1日の再生数がる1億3600万回を超えるなど話題となっています。
5月10日に日本における公開日、日本版ティーザー予告、ビジュアル、そして邦題が発表されたのですが、原題「ラグナロク」が邦題では「バトルロイヤル」に。これが改悪ではないかという批判や、日本で広く観客を集めるのに適した改良だろうという賛同の声など、Twitterでさまざまな反応を引き起こしています。Yahoo!のTwitterの感情分析機能を見る限りでは、否定的:肯定的の割合は5:1と、否定派の方が圧倒的に多いようです。
ラグナロクとはそもそも北欧神話における“最終戦争”の名称。主神オーディンや巨人族ロキ、狼フェンリルなど各勢力の最高格が闘い、最終的に世界の滅亡を引き起こしてしまう戦争です。英語での原義は、Twilights Of The Gods(神々の黄昏)。
「マイティ・ソー」はソーがオーディンの息子であったり、宿敵としてロキが登場したりと、北欧神話を下敷きにしている作品です。最新作におけるソーやハルク、ほか宿敵との戦いを「ラグナロク」に例えた原題「THOR RAGNAROK」は、シリーズの世界観にはぴったりのタイトルでした。
一方でバトルロイヤルとは、複数の人数で戦い最後に残った1人を勝者とする戦い方のこと。一般的にはプロレスの試合形式の1つとして有名です。「マイティ・ソー バトルロイヤル」の宣伝部はプレスリリースで、邦題にバトルロイヤルを使った理由を「本作では、世界を終わりへ導く最強の敵と対峙したソーとソーを取り巻く登場人物たちが、敵味方関係なく、プライドを捨てて共に戦う様が描かれていることから、このタイトルに!」と説明しています。
Twitterでは原作を知る人たちから、「『ラグナロク』だと神々の聖戦って感じするけど『バトルロイヤル』だと天下一武道会って感じがする」「神々の戦いが一気にプロレスになってしまうんだが」「島で北野武に集められるやつになってるじゃないですか」と、ソーたちの戦いの印象を変えてしまう改悪だと批判が続出。
一方で、コアな映画ファンよりも“たまに映画館に足を運ぶ”ライト層に観てもらう方が結果的に映画文化の存続につながるという考えから、日本の配給側が洋画を分かりやすいタイトルに改題するのはよくあること。「映画界全体が盛り上がって興収が増えたほうが我々ファンにも色々とメリットは多いです」「日本でもラグナロクって名称は有名だけど『神話の世界の戦争』というところまで知ってる人はというとそこまででもないだろうし」と、理解を示す声もあがっています。
それを踏まえた上で、「普通にラグナロクを和訳して『マイティ・ソー/神々の黄昏』にすればいいのに」「中途半端なサブタイにするくらいなら『マイティ・ソー /ハルクとソーのアッパレ!銀河大乱闘!』くらい、突き抜けて欲しかった」と、いい落とし所を見つけて欲しかったと残念がる意見も。全体的にネガティブな反応が多く、邦題の付け方の難しさ、同シリーズの人気の高さをあらためて浮き彫りにしています。
(黒木貴啓)
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ノートに名前を書かれたら死ぬ、しか合ってねぇぇぇぇ!