厚労省は5月10日、長時間労働など労働基準関係法令の疑いで書類送検・局長指導された企業をまとめたリストをWeb上に公開しました。昨年10月から今年3月まで全都道府県が対象で、リストにあがった企業・事業場は計334件となっています。
リストは「労働基準関係法令違反に係る公表事案」の一環。社会全体で過労死などのゼロを目指すために、昨年12月に実施が決まりました。各都道府県の労働局がそれぞれ送検・指導された企業を集計。これらを厚労省労働基準局がとりまとめ、毎月定期に同省のサイトに掲載します。公表日から約1年経つと企業名は削除されますが、指導事案に改善が認められると速やかに削除されるといった、早期的な措置もあります。
第1回目の公開となった今回。PDFファイル58ページにわたって334件とかなり多くの企業名が並んでいますが、事案の大半は「作業床を設けなかったもの」「プレス機械作業主任者を選任していなかったもの」など、労働安全衛生法にかかわるものが主のようです。
しかし賃金の未払いや時間外労働、最低賃金以下の支払いなど、いわゆる“ブラック企業”の問題で送検されている企業も少なくありません。昨年話題になった電通の名前もあり、「労働者2名に、36協定の延長時間を超える違法な時間外労働を行わせたもの」として昨年12月28日に労働基準法第32条で書類送検されていることが明記されています。
ほか「知的障害のある労働者3名に、東京都最低賃金を下回る賃金しか支払わなかったもの」(伸光舎)といった事案も。ブラック企業を国がまとめて公表するリストとなっており、今後労働問題への役割としてどのような機能を果たすのか注視されます。
(黒木貴啓)
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