「葬儀社の車から社名が消えた」という漫画がTwitterで注目を集めています。
話題になっているのは、漫画家の空路恵(@soramichi_m)さんが投稿した4ページの漫画。空路さんの身内が亡くなった際に、打ち合わせに来た葬儀社の担当者が一見普通の乗用車にしか見えない車(葬儀社の社名なしの車)で現れたことから、なぜなのか聞いたところ、昔は社名を入れていたものの今は「事情があって社名は乗せていない」という内容です。
その事情とは、社名を入れることによる嫌がらせ。「早く立ち去るように」という雰囲気で長い木製の棒を持ったおじさんが葬儀社の車のそばに立っていたり、ときには車のフロントガラスにヒビが入っていたことがあったことから「万が一遺族や社員自身に危害が及ぶことがあるとまずいため」、車から社名を消したとのことでした。
これには「似たような話を聞いたことがある」「葬祭業を一段低く見る風潮はまだ色々なところで見られます」「心無い行為で傷付けられる事があるのを知って本当悲しくなりました」という意見の他、「偶然を葬儀社側が意識しすぎただけな気もする」「地域の違いかな、とも思いました」といった意見も寄せられています。
葬儀社に実情を聞いた
この漫画の内容や実情について、葬儀社3社にも見解を聞いてみました。
公益社
大手葬儀社の公益社は「いつごろからかは分からないが、現在は社名を外した車を使用している」と回答。社名を入れなくなった理由については回答がありませんでした。
たまゆら葬儀社
関東圏での葬儀を引き受けているたまゆら葬儀社は、「創業当時から車に社名表記を行っていない。昔は社名表記の車が多かったが、最近は外しているところが多いようだ」と回答。社名表記を控えている理由としては「ここ5年〜10年ほどで身内だけでお葬式を行う『家族葬』が増えてきたこともあり、遺族の『周囲に知られたくない』という意向をくんでいるのではないかと思う」とのこと。また嫌がらせをされたことはないものの、(葬儀社の名前を見ることで)いい気分はしない、という人はいるのではないかと話しました。
セレモニー・エバーグリーン
東京都新宿区、足立区で低価格の葬儀を行うセレモニー・エバーグリーンも「創業当時から車の社名表記は行っていない」と回答。ミニバンにスモークを貼った普通車で打ち合わせに出掛けているといいます。社名表記については「病院へ行くこともあるので、そういった場所での配慮の意味合いもある」といい、「気付かない部分もあるのかもしれないが、現在までに(葬儀社であることが原因での)嫌がらせはなかったと思う」とのことでした。
今回の漫画をきっかけに、あらためて最後のお別れをお手伝いしてくれる葬儀社が、いかに遺族に寄り添った工夫を行っているのかが分かりました。漫画の作者・空路さんがつづった「今後彼らが傷つくことは起こらないで欲しいな…」という言葉は多くの共感を集めています。
画像提供:空路恵(@soramichi_m)さん
(Kikka)
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