アニメーションスタジオ・アートランドが7月4日付けで債務整理を開始したことが分かりました。同社前身の「有限会社アートランド」時代には「超時空要塞マクロス」「メガゾーン23」「銀河英雄伝説」への参加で知られ、近年でも「蟲師」のシリーズ制作を手掛けるなど、アニメファンから信頼の厚いスタジオとして支持を得ていました。
帝国データバンクによると、近年では人気作も手掛けていたものの、欠損計上が続き、2016年4月に中国のアニメーション制作会社の日本法人が当社株式の51%を取得するなどのリストラ策を実施。また、6月には中国のアニメ会社「上海絵界文化伝播有限公司」の日本子会社である「絵梦」から出資を受けていたことも知られていました。しかしこちらも奏功せず、負債は2016年12月期末時点で約2億9800万円まで膨れ上がっていました。
また、東京商工リサーチによると、同社の関係者は「破産申請をしない方向で債務整理を検討している。事業を継続する可能性もある」とも語っているとのこと。社内にはまだ従業員もおり、ここからの再起に期待したいところです。
前身となるスタジオは創業者の石黒昇さんを中心に1978年に誕生。キャラクターデザイナーの美樹本晴彦さんやアニメーターの板野一郎さんなど、若手の実力派スタッフを多く抱え、80年代は多数のOVA(オリジナル・ビデオ・アニメーション)作品への制作協力で存在感を発揮。2006年にはマーベラスエンターテイメントの子会社になり、同年7月には株式会社化。同社初の完全元請け作品「蟲師」(2005年〜2006年)はテレビアニメの枠を超えたクオリティで話題になりました。2010年にはマーベラスから離れ、「株式会社アニメーションスタジオ・アートランド」として再出発していました。
19時23分追記:当初、帝国データバンクの情報に基づき「アニメーションスタジオ・アートランドが6月30日までに実質的に事業を停止していたことが分かりました」と記載していましたが、その後、帝国データバンクが「事業を停止」とする記述を取り下げたため、一部記述を修正いたしました。ねとらぼでも7月7日午前、アートランドに電話で取材していましたが、正式なコメントをいただくまでには至っていませんでした。お詫びして訂正いたします。
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