黒髪ロングのヒロインって、ミステリアス感と強キャラ感あるじゃないですか。「地獄少女」の閻魔あいとか「まどか☆マギカ」の暁美ほむらとか。今回はその中でもぶっちぎりで何考えているのかわからない黒ロン少女、「賭ケグルイ」蛇喰夢子(じゃばみ・ゆめこ)をご紹介。
彼女の美貌
「賭ケグルイ」は、ギャンブルで全てが決まるというトンチキな学校の物語。勝てば力を手に入れ、負けて借金が続けば家畜扱い。そんな学校にやってきたのが、謎の少女・蛇喰夢子。
「賭ケグルイ」という作品は対戦相手が美少女だらけ(一応男もいるけど)。その中でも、夢子と生徒会長の美貌は、頭2つくらい飛び抜けています。
腰まで伸びるサラッサラの黒髪。黒タイツに包まれた艶めかしい脚(OPタイトルロゴの脚!)。たわわな大きな胸と、しなやかな腰つき。いつもアルカイックスマイル。麗しいだけじゃなく、しぐさの一つ一つがくねっとしていて、どこをとってもえっち。この肉感的な身体が、赤と黒を貴重としたカジノディーラーライクな制服によくお似合い。
普段は本当に大和撫子。基本ピュアで、とっても話しかけやすい。大人受けはだいぶ良さそう。
と、完璧美少女だからこそ、ここからの落差がすごい。
滾ってしまいますわー!
夢子は、身体の髄からのギャンブル狂。いったんスイッチが入ったら、誰にもおさえられない猛獣と化します。といっても、別に相手をじゅうりんするのが趣味なわけではありません。むしろどんな不利な条件だろうと仕掛けられたら100%受けるのが、彼女の怖いところ。明らかに負けると思われる試合も受けちゃう。しかもイカサマを逆手に取って勝っちゃう。
最初に誘われた、クラスの早乙女芽亜里(さおとめ・めあり)との「投票ジャンケン」。『カイジ』の限定ジャンケンと別の意味で難しそう。
夢子は優しく笑顔でOKし、ギャンブルに挑みます。転校してきたばかりの夢子を負かすぜバーカというノリだった芽亜里。ところが夢子がカバンから1000万を取り出して、もう1戦と言い始めてからおかしくなってくる。なんでカバンの中にそんな現ナマ持って歩いたのか、いまだに謎です。なんで?
その次の皇伊月(すめらぎ・いつき)戦でも、たおやかな優等生を演じる夢子。2000万の試合から生爪の剥がしあいに。彼女のテンションがどんどんあがります。皇はどんどん青ざめます。あかん、関わったらだめな子だ。
テンション上がりすぎて絶頂。エクスタシー。なんせ賭けてるのが最初は1000万円からはじまり、3話で数億円。インフレを止める気が一切見えない。そのうち人生から命まで賭け始めます。
彼女の口癖「滾ってしまいますわー!」。早見沙織さんの演技が、尋常じゃなくイってしまっているので、ぜひとも聞いてみてください。
勝ちたいわけじゃない
ギャンブルは基本、勝ってもうけたいと思うもの。お金なり物品なり、なんらかの形で自分にメリットがほしい……よね?
しかし夢子は勝ちたいわけじゃない。絶対に勝つとか、絶対に負けるとかを心底嫌います。お互いがリスクを背負って、100%のない状態で賭けあうのが好き。自分がイカサマしたら、イカサマしましたよとオープンにしちゃう。ギャンブルの不確定要素そのものに快感を覚えています。
どうせ賭けるなら安い金額じゃ滾らない。お互いが本気で自らの全てを賭けなければ滾れない。厄介な性癖だなあ。
「資本主義の世の中では金は命も同然。命を運否天賦に委ねるなど、正気の沙汰ではありません。にもかかわらず、カジノに人が集まるのは、命を賭ける狂気に人は快感を覚えるからです。であるなら、ギャンブルは狂っているほど面白い」
『カイジ』でも「金は命より重い」っていってたしね。
自分の身を削って、しかも不確定な運に任せるというのは確かに正気じゃない。もっとも、負けたいドMというわけでもないし、相手を嫌がらせるドSでもない。このへんはアニメではまだ出てきません。原作でじっくり描かれている最中です。
もちろんやるからには勝つ気満々で挑みますが、ラッキーパンチで負けることは当然あります。そこも含めて運に任せたほうが楽しいから、あえてリスクを取る。しかもそのために数千万円を諦めることすらあります。
作中のキャラも大概みんなイカれてますが、それでも「勝とう」としている。夢子は学校の価値観からずれているので、生態系が保たれた水槽に、外来種のブラックバスが来て大騒ぎになっているような状態。
この作品に出てくるキャラは、みんなものすごい顔芸を見せます。特に夢子がイカサマにかかりそうになった時。美少女っぽさは跡形もなくなります。
夢子は、1本試合を決めて「さらにもう1つ!」と賭けを進めた時に、もりもり滾って赤い目が光ります。「お前を追い詰めたぞ」ではない。「あなたも私も追い詰められましたよさあ次の試合をしましょう!」という感じ。まだマウント取ってフルボッコにしてくるほうが理解できるのに。
唯一分かり合える人
夢子の言動は、一緒にいることの多い鈴井も芽亜里も、ちっともわかりません。生徒会の強者たちも、全然理解できない。ただ1人、生徒会長の桃喰綺羅莉(ももばみ・きらり)だけは、通じ合っている。
「ギャンブル」に対しての「面白い」の価値観が似ている、らしい。友情でも恋でも敵でもない、不思議な引力で惹かれ合っていく。OPで夢子に近づこうとする綺羅莉の艶めかしさときたら。CV早見沙織 vs.沢城みゆきだなんて、死人が出るレベルのボス戦じゃないですか。
一方で、2人のどちらにもつかず、凡人の立ち位置で運命にあらがうべく努力している芽亜里。もっとも少年漫画の主人公っぽい(『賭ケグルイ双』を読もう!)。
この3人の妙な関係で、善悪の差なく釣り合いが取れている。「夢子が無双する痛快作品」とは言い切れないです。むしろ夢子は暴れ狂うモンスター、視点によっては退治されるべきキャラにすらなっています。
夢子の思想を『アカギ』や『ギャンブルフィッシュ』『嘘喰い』『ACMA:GAME』などの精神性と比較すると興味深い。「狂気の沙汰ほど面白い」の領域は、ぼくにゃちょっとわかんないし、わかりたくないな……。
(たまごまご)
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