ネットオークション「ヤフオク!」に出品されている重要刀剣「名物・乱藤四郎(みだれとうしろう)」について、日本刀剣博物技術研究財団が「当財団管理刀剣である乱藤四郎は手放されておりません」と声明を発表し、物議をかもしています。
話題になっているのは、粟田口吉光作の短刀「名物・乱藤四郎」とみられる刀についてで、7月20日から1万円で出品されています。その後7月25日までに120件以上の入札が繰り返され、記事執筆時点での価格は300万円を突破しています。
ところがこの出品について、刀を管理する日本刀剣博物技術研究財団が「当方は一切関与しておりません」と告知。財団が管理する「名物・乱藤四郎」とヤフオク!に出品されている商品との相違点を挙げています。
主な相違点は、刀に刻まれた「吉光」の銘の、“吉”の6画目(口の底の部分)が異なること、ハバキ(刀身の手元の部分にはめる金具のこと)が二重ハバキなのに、オークションに出品されているものは一重ハバキであること、付属している昭和50年発行の重要刀剣指定書については平成二十八年(2016年)に再発行されていることから、たとえ本物の指定書であったとしても無効であること、折り紙の内容(長寸の表記や代金の枚数、花押など)が相違していること、銃砲刀剣類登録証の発行日が不自然なことなど5カ所です。
これについて、ネット上では「出品者を詐欺として通報しないのか」「博物館で期間限定で展示されるような貴重な刀が300万で」「本物の乱藤四郎には金では計り知れない価値があるんだよ」などの意見があがっています。
出品されている「名物・乱藤四郎」の真贋の真相は一体どうなっているのか。編集部は重要刀剣の指定書を発行する「日本美術刀剣保存協会」に取材を申し込みました。
――出品されている「名物・乱藤四郎」の指定書について確認をしたいのですが、この書類は実在のものでしょうか
協会担当者:協会の台帳で指定番号の記録を調べたところ、その番号は別の刀の指定番号でした。また番号の発行が行われたのは昭和40年代であることから時代も違うようです。
――発行日は昭和50年、発行者は会長細川護立となっていますが
協会担当者:昭和50年当時の会長は本間順治ですので、細川ということはありません。
――ということは書類は偽物ということでしょうか
協会担当者:協会の台帳の情報についてはお教えできますが、真贋についてはお答えしておりません。
こうした指摘は出品者にも寄せられていますが、出品者はあくまでも「登録証は、教育委員会へきちんと確認も致しており、間違いの無いものだと保証させて頂きますので、ご安心下さいませ」と回答しています。編集部では詳細について、「名物・乱藤四郎」を管理する日本刀剣博物技術研究財団にも詳細を問い合わせています。
画像:オークションページより
(Kikka)
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