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コラム

「インターネット」が初めて国語辞典に載ったのはいつなのか?(1/3 ページ)

説明文も「板チョコ」から「チューインガム」に進化。

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 私たちがいま、当たり前のようにつかう「インターネット」「パソコン」といったこれらのIT用語は、いったいいつごろからつかわれはじめたのだろうか?

 1975年うまれの筆者の記憶をたどると、パソコンなんて言葉は小学校のころ(1980年代)にやっとつかわれはじめた言葉のようにおもう。もっともそのころは、パソコンよりもマイコンということのほうが多かったような気もする。もちろん、インターネットなんて言葉は存在もしなかった。

 どのご家庭にも国語辞典の10冊や20冊は常備しているとおもうが、我が家にはふざけて買った国語辞典が150冊ほどある。この150冊の国語辞典をつかって、いま一般的によくつかわれるIT用語が、いつごろから普及しはじめたのか、しらべてみたいと思う。

 今回、1950年代ごろから2017年まで継続的に改訂をおこなっている主要な国語辞典の中から、『三省堂国語辞典』『新明解国語辞典』『広辞苑』『岩波国語辞典』『旺文社国語辞典』『新選国語辞典』など、全45冊以上の国語辞典をえらび、情報技術関連の言葉「インターネット」「パソコン」「パーソナルコンピューター」「マイコン」「マイクロコンピューター」「でんしけいさんき(電子計算機)」「でんきけいさんき(電気計算機)」を横断的にしらべて表にまとめてみた。

 で、まとめた表がこちらだ。

 中には、途中で版が抜けていたりするものがあるけれど、あくまでぼくが所有している国語辞典の中から調査したものであることをご了解いただきたい。

90年代後半から載りはじめた「インターネット」

 さて、まずは気になる「インターネット」という言葉、最初期に載っていたのはどの国語辞典か。

 今回しらべた国語辞典の中では、1998年に刊行された新明解国語辞典第五版、広辞苑第五版にそれぞれ「インターネット」が立項されていた。


『新明解国語辞典』第五版 1998年

インター-ネット[5]〔Internet〕加入者の間に世界じゅうのコンピューターをつないで情報交換が出来るようにした国際的な通信情報サービス組織。



『広辞苑』第五版 1998年

インターネット【Internet】世界規模のコンピューター・ネットワーク。アメリカ国防総省が構築した実験的な軍事用ネットワークから発展し、大学・研究機関等のコンピューターの相互接続により、全世界を網羅するネットワークに成長。パソコン通信のように一台のホストコンピューターがサービスを提供するのではなく、全世界に分散するサーバーにより運用・管理される。


 上記の説明は、1998年より前、おそらく1995年ごろに書かれたものだろうか? 1995年というと、Windows 95が発売され、一般向けのインターネット接続サービスをおこなうプロバイダーが、日本各地にできはじめたころである。

 新明解国語辞典の「インターネット」は、「インター」という項目のブランチの1つとして登場している。「加入者の間に世界じゅうのコンピューターをつないで」という部分は、なんだかもやっとしている。

 その点、広辞苑の語釈は詳しい。前半のなりたちと、後半の仕組みの説明はなかなか的確ではないか。

 2000年代に入ってから改訂された辞書には、ほぼ全て「インターネット」は収録されている。


『岩波国語辞典』第六版 2000年

インターネット 世界規模のコンピュータ ネットワーク。通信回線を介して、世界各地の個人や組織のコンピュータがつながっている。▽アメリカ国防総省高等研究計画局のアーパネット(ARPA-NET,1969年から1989年まで運用)から発展した。internet


 ちなみに、最新版の新明解国語辞典を見てみると……。


『新明解国語辞典』第七版 2011年

インター/

-ネット[5]〔Internet=ネットワーク間の(ネットワーク)〕世界中のコンピューターをつないで加入者の間で情報交換が出来るようにした国際的な通信情報サービス組織。


 「インター」のブランチの1つであることは変わりない。本文は、語順をいれかえてじゃっかん分かりやすくなっているものの「加入者の間で情報交換」という「加入者ってなんだろう」というもやっとした解説はそのままだ。

 ところで、最近は「インターネット」が掲載されているだけではなく、インターネットが普及したことにより派生したさまざまな言葉も収録されている。

 分かりやすいのは『三省堂国語辞典』だ。『三省堂国語辞典』が最初に「インターネット」を収録したのは第五版(2001年)。


『三省堂国語辞典』第五版 2001年

インターネット(名)〔Internet〕コンピューターを使った、国際的な通信ネットワーク。世界じゅうの情報を、見たり調べたりできる。ネット。


 わりとあっさりした説明のみであったが、2014年に出版された七版ではこんな風になっている。


『三省堂国語辞典』第七版 2014年

インターネット(名)〔Internet〕(1)[情]世界じゅうのコンピューターをつなぐ通信ネットワーク。これを使って、個人が世界に向けて情報を発信したり、世界中から情報を得たりできる。(2)「インターネット(1)」につないだコンピューターの画面。「-〈で/を〉見る」▽ネット。⇒:ネットオークション・…。●-カフェ(名)〔和製洋語Internet+フcafe〕インターネットに接続されたパソコンを自由に使える喫茶(キッサ)店。サイバーカフェ。ネットカフェ。●-バンキング(名)〔Internet banking〕〔経〕インターネットを通じて、残高照会や振(フ)り込(コ)みなどができる銀行サービス。ネットバンキング。


 まず、(1)で、インターネットそのものの説明。(2)で、「インターネットで見る」といった、インターネットにつながっているパソコンやモニターそのものを「インターネット」と言い表す場合の「インターネット」。そして、インターネットができてはじめて発生した各種の「インターネットカフェ」や「インターネットバンキング」といった言葉を収録している。

 わずか13年で、これほど説明がふえたということは、インターネットがいかに急速に私たちの生活へ溶け込んだのかが分かるといえる。

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