「ドラゴンクエストXI」(ドラクエ11)が面白すぎる。本編もさることながら、PS4版のカジノに導入されている「マジスロ」が衝撃的なほど面白いのだ。
マジスロとは「マジックスロット」の略で、魔法を使ったスロットマシンのことだとゲーム中で説明される。3つのリールを自分のタイミングで止める「目押し」ができることが最大の特徴で、パチンコ屋さんにある「パチスロ」によく似ているゲームだ。というか完全にパチスロだ。
魔王を倒すため強い意志を持って冒険に旅立った多くの勇者たちが、カジノにたどり着いた途端このマジスロにハマって冒険が終了してしまうケースが続出しているようだ。もともとパチスロを「ギャンブル」よりも「ゲーム」として愛好していた筆者もそんなダメ勇者の1人である。
クオリティが「ミニゲーム」ってレベルじゃない
ゲーム内のミニゲームに「パチスロ」が採用されること自体は実はそれほど衝撃ではない。古くはゲームボーイ版「ポケットモンスター」でも目押しができるスロットが登場している。では、「マジスロ」は何がそんなにすごいのか。それはパチスロを知らない人でも「よくできてるな」と思ってしまい、パチスロを知っている人なら「よくできすぎててヤバイだろ……」と思ってしまう異様なクオリティの高さだ。
例えば液晶の「スラりん」はそろった小役に応じて、びっくりしたりアイテムを見つけたりザコ敵を倒したりとさまざまなアクションを見せる。期待値の上がる「高確率」ゾーンでは背景が夕方や夜になる。大当たりが確定するとスライムの「役物」がドガシャアンと落下して台がビカビカと光る。連チャンをかけてボスと戦う「チャレンジバトル」は完全にパチスロ「北斗の拳」シリーズなどでおなじみの「バトルモード」だし、液晶がプチュンと消えてその後全回転が始まる「ロングフリーズ」もスロッターの誰もが夢見る有名なプレミア演出だ。
要するにマジスロは「マジでスロット」なのだ。全てがパチスロのお約束を踏襲してきっちり作りこまれている。ちなみにゲーム内で朝の時間にカジノに行くと「朝イチでいい台を取りたい」と並んでいる人までいて、「そんなとこまで完全再現するな!」と恥ずかしくなった人は多いだろう。
ゲームとよく似た「パチスロ」の演出力
ものすごくざっくり言うとパチスロは「大当たりや小当たりが入っているくじ引き」というゲームだ。「7」が3つそろうと大当たりでコインがいっぱいもらえる(ちなみに抽選は内部的に行われているので通常時は「7」を目押ししてもそろわない)。
たったそれだけのくじ引きをいかに面白く見せるか。そこで大切なのが「演出」と「仕様」だ。
「ドラクエ」という最強クラスの版権を使ったマジスロの演出が楽しくないわけがない。「スライムが合体してキングスライムになったら大当たり」「特訓してメタルキングを倒せたら大当たり」「宝箱から7が出たら大当たり」といった演出は、パチスロを知らなくてもドラクエを知っていれば直観的に理解できる。オートプレイもあるので液晶の演出だけを楽しむという遊び方もアリだろう。
「ゲーム」と「パチスロ」には共通点もある。昔はリールを回すだけだったパチスロにドットの小さな液晶が付き、次第にアニメを流せる大きな液晶や派手な役物が追加されていった流れと、ファミコンのドットから始まったドラクエがハードの進化にあわせて豊かな表現力を獲得していった流れはよく似ている。
筆者は知り合いのゲームクリエイターが近年のパチスロの演出の進化を見て「すげーすげー!」と興奮しているのを見たことがある。「かいしんのいちげき」の音やエフェクトが気持ちいいように、「ボーナス確定」の音やエフェクトもより気持ちいいものになるよう進化してきたのだ。
「マジスロ」がパチスロよりもすごい点
では、マジスロをそのままパチスロにしたら面白いかというとそうではない。「ドラクエ好きの子どもをパチンコ屋に誘惑していいのか」とか「絶対鳥山明が許可を出さない」とかの事情もあるけど、そもそも「マジスロはパチスロの仕様では作れない」のである。
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