パ・リーグの公式試合中に鳥の大群がグラウンド上を飛び回り、最終的に球場のライトを全て落として追い払う。そんな珍事が8月30日に楽天イーグルス対西武ライオンズ戦(Koboパーク宮城)で発生しました。鳥、恐るべし。
8回表のライオンズ攻撃終了後、雨のため試合を中断していたところ、グラウンドに白い鳥の大群が襲来。目視100羽ほどの数、しかもかなりのスピードで低空飛行を続けるため、野手の中にはのけぞったりしゃがみこんだりする選手も。落ち着いてプレーできないため、試合がなかなか再開できません。
仕方なくスタッフが十数人でホイッスルを吹いて球場を駆け回り、懸命に鳥を追い払おうとしますが敵わず。花火を打ち上げて威嚇(いかく)しても効かず。放送席も「スタンドの方へ飛んで行くかな?」「だめかー」と、スタッフと鳥の攻防を実況するのに熱が入ります。なんだこの試合は。
最終的に「鳥はライトに引き寄せられているのでは」と、スタジアムの照明をほぼ全て落とすことに。大型スクリーンも、スタンドも、Koboパーク宮城特有の観覧車も、全てライトオフ。ベンチと放送席の明かりだけ残して真っ暗のスタジアムを、鳥の大群がうっすら飛び回り続け、それを選手と観客で見守る……というシュールな展開を迎えます。ドローンも出動し、赤い光を放ちながら上空を旋回。ますます野球から離れていく。
照明オフ作戦は成功し、鳥たちは球場の外へ。試合再開のアナウンスが流れると観客から歓声があがり、再びライトが点灯するまでの間みんなでスマホのバックライトをペンライト代わりに振るという謎のコンサート状態に。実況も「(鳥たちは)やっぱり明るいところを狙って来ているんですね!」「われわれも野球中継でこういう中継するとは思わなかった」と興奮気味でした。
試合の中断時間は最終的に58分。鳥に脅威を覚えるという意味では、アルフレッド・ヒッチコック監督のホラー映画「鳥」が思い出される、非常に珍しい試合となりました。ちなみに試合は8回裏にイーグルスが4点差を追い付き、9回前に降雨コールドで8対8の引き分けとなりました。
(黒木貴啓)
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