まだ蒸し暑さが残るこの時期に付いて回るのが、害虫「蚊」によるかゆみ。外出時に刺されないように虫除けスプレーや服装で対策しても、家の中に侵入してきては寝ている間を狙われたりと、どうしても被害にあってしまうという人も多いのではないでしょうか。
そもそも、なぜ蚊に刺されるとかゆくなるのか、そして刺されたときの正しい対処法はどんなものがあるのか。基本的なことからよく聞くウワサまで、気になる疑問を「ムヒ」でおなじみの池田模範堂・研究所医薬情報グループの高橋亜貴子さんに伺いました。
蚊による「かゆみ」の原因は?
――なぜ蚊に刺されるとかゆくなるのでしょうか。
高橋さん:蚊は、血を吸う際に唾液を注入します。この蚊の唾液は、人間にとっては異物ですので、体内に入ると、異物を排除しようとする反応が起こります。これはアレルギー反応と呼ばれる人に本来備わっている防御反応で、症状としてはかゆみや赤み、腫れが起こります。
つまり、蚊に刺されたときに起こる症状は、蚊の唾液によるアレルギー反応です。
ちなみに、この蚊の唾液の成分には、人に気付かれないように、針の痛みを感じさせないようにする局所麻酔作用と、血を吸いやすくするために血を固める働きを一時的に抑える作用があります。
太っている人の方が狙われやすい?
――刺されやすい人のタイプというのはあるのでしょうか。また血液型によって刺されやすさが違ったりするのでしょうか。
高橋さん:蚊は、普段は花の蜜などを吸っていますが、メスの蚊が産卵のための栄養を蓄えるために吸血します。蚊は主に呼吸や汗に含まれる炭酸ガスを感知して寄ってきますので、新陳代謝の良い子どもや汗をかきやすい人、例えばスポーツ選手や太っている人は蚊のターゲットになりやすいといえます。ほかにも体温の高い人、肌の柔らかい人、お酒を飲んでいる人も狙われます。
なお、血液型で刺されやすさが異なるという説もありますが、まだはっきりした根拠は出ていないようです。
――刺されやすい環境・状況はあるのでしょうか。
高橋さん:気温差における蚊の吸血活動を確認すると、気温が18度を超えると活動を開始し、20度を超えるとより活動が活発になってきます。
また蚊の種類によっては、日中〜夕方に活動する蚊と夜に活動する蚊がいますので注意が必要です。従って、まだ気温がそれほど上がっていない春先や秋になり涼しくなっても安心せずに、日頃から虫よけ対策を心掛けることが必要です。
「爪で刺された所にバッテンを作る」のはアリ?
――刺されてしまったときに有効なかゆみを抑える対策としてはどういったものがあるのでしょうか。
高橋さん:刺されたら、まずは掻かずに、できるだけ早くかゆみ止め成分(抗ヒスタミン成分など)が配合されている虫刺され薬を塗ってください。また、赤みや腫れがひどい場合は、抗炎症成分(ステロイド成分など)が配合されているものを使うことも有効です。
なお、薬が手元にないときは、水道水や氷で冷やすこともかゆみを和らげる効果があります。一方、温めることはさらに炎症がひどくなることがあるので、おすすめしておりません。
――よくある「爪で刺された所にバッテンを作る」のは効果があるのでしょうか。
一時的に痛みの刺激を与えることで、かゆみを和らげる作用はありますが、掻くことと同じで症状がひどくなる可能性がありますので、おすすめしません。
これから徐々に涼しくなっても、しばらくは油断のできない吸血被害。もし刺されてかゆみが止まらないときは、“バッテン”を作るのではなく、冷やしたり市販のお薬を塗ったりして対処するようにしましょう。
(宮原れい)
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