もやしが安売りされすぎていることが問題になっています。2017年3月には、工業組合もやし生産者協会が「長年に渡り原料種子高騰や賃金上昇などに対応し続けたことにより体力を消耗しきっている」「これ以上の経費削減への努力は既に限界を超え、健全な経営ができていない状況」と窮状を訴えました。
- 参考:もやし生産者の窮状にご理解を!(もやし生産者協会)
同協会によれば、もやしの小売価格はここ12年ほどで約10%下落し、40年前(1977年)の価格よりも安いのに対し、原料種子や人件費などの生産コストは高騰し続けているとのこと。
なぜもやしがここまで安売りされているのか、本来の適正価格はどれくらいなのか、そして今後の市場動向について、もやしの生産・販売を主力事業とするサラダコスモ社に伺いました。
今回お話を聞いた人
サラダコスモ 営業本部長 宮地隆彰さん
なぜもやしは安売りされてしまうのか?
――なぜもやしはここまで安売りされてしまうのでしょうか?
もやしは青果コーナーで一番安いうえに、工場の中で生産される野菜であるため、一年中、安定供給・安定価格であることを背景に、目玉品にしやすいことや、お店が安いイメージを付けやすいのだと思われます。
メロンを1個ロス(売れずに廃棄)して2000円損金を出すより、もやし1パック20円なら、50パック損しても1000円の損金で済みます。
もやしの適正価格は?
――本来、もやしはどれくらいの価格が適正といえるのでしょうか。
一般的なもやしとされる「緑豆もやし」は、異常な安売りによって、かつては230社以上あったもやし生産者もこの10年で100社以上が廃業に追い込まれています。労働賃金、緑豆の種の高騰を考えると、緑豆もやしは、1袋40円以上が適正な価格と言えると思います。
今後はもやしの「プレミアム化」が進む?
――今後、もやし業界はどのように変化していくと思われますか?
今後はもやしを適正な価格まで値上げし、独自ブランドの商品を開発するなど、全体的にプレミアム化が進むのではないでしょうか。ここ数年は、通常のもやしの2〜3倍の価格の「機能性もやし」市場が拡大してきています。
機能性もやしは、大豆を発芽させた大豆もやしで、大豆ともやしの栄養が一度に摂取できる食材です。緑豆もやしと比べると平均してあらゆる栄養素が2〜3倍含まれており、2015年には、生鮮食品としては初の「機能性表示食品」にも選ばれています(※)。
※サラダコスモ「大豆イソフラボン子大豆もやし」
弊社の「大豆イソフラボン子大豆もやし」は、電子レンジ対応パックを採用しており、袋のままチンして食べられるような仕様になっています。電子レンジ調理で時短になるだけでなく、栄養を一番逃がさず、健康的に食べることができます。このような調理面の工夫も必要になってくるでしょう。
また、もやしの素材単品ではなく、キャベツやニンジンなど他の野菜とミックスされたカット野菜として利用されることも増えていくと思います。オリンピックに向けてオーガニック需要も増加していくでしょう。
低価格路線から舵を切れるか
一見影の薄い存在のようでありながら、炒め物やおひたし、和え物、スープなど日本の食卓には欠かせない食材の1つである、もやし。これまでの低価格路線から舵を切り、現在の窮状を脱することができるでしょうか。
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