ハーブ、かんきつ類をはじめとした植物の香りで、心や体を癒やしてくれるアロマオイル。湯船にたらして浴室内に香りを広げたり、マッサージに使ったりとさまざまな使い方ができるのもうれしいポイントです。
しかし、このアロマオイル、実は猫にとって非常に危険で、最悪の場合、死亡事故につながる可能性もあるそうです。この件について、動物病院に話を伺ってみました。
そもそもアロマオイルとは、植物から採れるエッセンシャルオイル(精油)をアルコールなどで希釈したもの。香りを楽しむために利用されることが多く、リラックス、ストレス解消などに効果があると言われています。さて、普段使う際にはほとんど考えない点ですが、アロマオイルには揮発性があり、空気中に拡散すると、鼻の粘膜から体内へ入ります。これによって香りが感じとれるのですが、体内に入った成分はどうなるのでしょうか。
フォレスタ動物病院(東京都)に伺ったところ、精油に由来する成分に関しては、肝臓の「グルクロン酸転移酵素」によって代謝され、体外に排出されるとのこと。しかし、人間や犬と異なり、猫の場合はこの酵素が十分に生成されないため、中毒が発生する可能性が。つまり、危険性があるのはアロマオイルというより、そこに含まれている植物由来のエッセンシャルオイルというわけです。
症状は他の薬物などで発症する中毒に類似しており、食欲低下やだるさ、吐き気など。必ずしもすぐに症状が現れるわけではなく、数年間かけて体内に蓄積し、肝不全が起こってしまうこともあるそうです。実際、同医院でもアロマオイル被害による来院事例は少なからず発生しているといいます。
このような体の仕組みの違いが存在する理由は「人間、犬が雑食であるのに対し、猫は肉食。植物の成分を代謝する肝機能の必要性が低いため」と説明されることも。進化の過程に原因があるのではないかと推測されているようです。
エッセンシャルオイルは、製造に使われる植物によって種類が分けられており、ラベンダー、ローズマリー、レモン、ジンジャー……とその数は膨大。しかし、それぞれの危険性の違いについてはよく分かっておらず、「とりあえずすべて避けるのが無難」だそうです。
しかし、アロマオイルは柔軟剤をはじめとした、身近な製品に利用されていたり、蚊取り線香、虫よけスプレーなどで同じトラブルが起こったりすることもあるため、注意が必要。すぐに症状が出なくても、体内に蓄積していってしまうおそれがあるので、室内を換気するなどして対策するようにしましょう。
(マッハ・キショ松)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 「16×4は?」「68−4だから64」 小学1年生の掛け算の計算方法が斬新だと話題に
発想が見事。 - 「カニミソ」はカニの何なのか?
カニミソって何だ? 脳ミソか? 僕は何を食べようとしているのだ? - 漢字の「一」「二」「三」の次がいきなり「四」になるのはなぜなのか?
なんで横棒4本じゃないの? - Suicaはなぜ「充電なし」でいつまでも使えるのか?
よくよく考えてみると。 - 「甲子園の土、その後どうしてますか?」 元甲子園球児たちに聞いてみた
あの「奇跡のバックホーム」の走者だった方にもお話を伺いました。