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2017年8月、『さよなら絶望先生』(久米田康治)の単行本が「絶版した!」と話題になりました。「単行本の装丁に使われていた和紙が調達できなくなった」とのうわさが広がったためですが、週刊少年マガジン編集部は「品切れ・重版未定」との理由をあげ、絶版を否定しました。
マガジン編集部は、本作がデジタル製版のため、版自体がなくなることはなく「絶版」には当たらないとも説明しました。
その一方で同じく8月、マンガ評論家の伊藤剛氏による、ガラケー向けの「ケータイコミック」に関するツイートも注目されました。「ケータイコミックはせいぜい10年間しか続かず消えてしまった。“古本”もないため、今世紀初頭のマンガ史に穴が空いてしまった」という内容です。
この投稿は、作品の初出が雑誌などの紙メディアであれば物理的に後世に残りやすいものの、Webメディアに掲載された作品は、サイトやアプリがサービスを終了すると閲覧環境そのものが消滅してしまい見られなくなる、という危機感によるものです。
伊藤氏のツイートを受けて、小説やアニメ、ゲームなど、さまざまな業界のユーザーが「初出時、デジタル環境で発表された作品のアーカイブ」に関する考えを議論し、その内容はTogetterにもまとめられています。
「アーカイブ対象」は作品だけではない
ただ、こうした一連のツイートを見ていると、各人で認識に差があるようにも感じられます。アーカイブ対象を「作品のみ」とするならば、初出メディアが失われても別メディアで復刻するという形で対応できますが、当の「初出メディア」までをアーカイブ対象に含めるとすると、その難しさや意義がまた異なってくるからです。
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