ヤクルト本社から販売されている飲料「ミルミル」。名前を聞くと懐かしい気持ちになるという人も多いのでは? 白地に緑と赤の水玉模様のパッケージが印象的です。
実はこのミルミル、一時期は別の商品に生まれ変わり、その後、復活を遂げていたことをご存じでしょうか? また、似た商品の「ヤクルト」とどう違うのかもちょっと気になりますよね。
そこでヤクルト本社に、ミルミルについて詳しく聞いてみました。
ミルミルとヤクルトの違いは?
ヤクルト本社の公式サイトによると、ミルミルは「はっ酵乳」の商品カテゴリーに分類されており、「大腸ではたらくビフィズス菌 BY株を、1本(100ml)に120億個以上含んだ、のむタイプのヨーグルト」と書かれています。
一方、おなじみのヤクルトも「乳製品乳酸菌飲料」と書かれていて、どちらも腸によさそうな感じがあります。一体、どう違うのでしょうか?
ヤクルト本社:「ヤクルトとミルミルの違いは、商品分類と商品に含まれる菌の種類の2点です」
<1. 商品分類の違い>
ヤクルトは乳製品乳酸菌飲料に分類され、ミルミルは発酵乳に分類される。
<2. 菌の種類の違い>
ヤクルトは「乳酸菌 シロタ株」、ミルミルは「ビフィズス菌 BY株」が含まれる。乳酸菌 シロタ株は、主に小腸で働く。一方、ビフィズス菌 BY株は、主に大腸で働く。
ネーミングの由来は?
――ヤクルトとミルミルの味の違いはどこにあるのでしょうか。
ヤクルト本社:ヤクルトは種類により多少味の違いはありますが、ミルミルと比べ、甘酸っぱい風味が特徴です。ミルミルはさっぱりとしたミルク風味で、ヨーグルトの酸味が苦手な人でもおいしく飲め、またどこか懐かしさを感じる味わいとしています。
――なぜ「ミルミル」という名前になったのですか?
ヤクルト本社:発売当初は、主に乳幼児の方に毎日飲んでいただくことを目的としていました。そこで「ミルク」から連想し、お子さまに好まれ、覚えやすく、言いやすい、かわいらしい名前として「ミルミル」と名付けられました。
なぜミルミルが登場したの?
――ヤクルトは1935年発売の長寿商品ですが、もともとヤクルトがありながら、ミルミルを1978年に登場させたのはなぜですか?
ヤクルト本社:「健腸長寿」(※)という考え方を実現するべく、1960年ごろから「乳酸菌 シロタ株」に次ぐ第2の菌として、母乳で育った乳幼児のおなかに多いビフィズス菌の研究・開発を進めていました。
ビフィズス菌は有用性が認識されながらも、酸素に弱いため商品化が困難でした。しかしその後、商品化技術の確立を受けて、1978年に牛乳をビフィズス菌で発酵させた世界初の商品として、生きて大腸で働くビフィズス菌入りの飲むヨーグルト「ミルミル」が発売されました。
※「健腸長寿」:ヒトが栄養素を摂る場所である腸を丈夫にすることが健康で長生きにつながるというヤクルトの創始者・代田稔氏の考え。
ブランド変更後、2010年に復活を遂げる
このミルミル、幼い頃に飲み親しみ、懐かしいと感じる大人は多いのではないでしょうか。しかしミルミルは2005年に「ビフィーネ」ブランドに変わり、一時期、姿を消します。そして5年後の2010年にミルミルブランドが復活していたのです。
その復活劇の経緯を聞いてみました。
ヤクルト本社:「ビフィーネ」ブランドは、当時、複数あったビフィズス菌商品のブランドを統一し、ビフィズス菌そのものの価値普及に注力することを目的に発売しました。しかし、新ブランドの認知獲得に苦戦したため、高い認知率を持っているミルミルをビフィズス菌商品のブランド再構築に活用することとしました。
合わせて主なターゲットを「加齢とともに減少するビフィズス菌の補給が必要な30歳以上の男女」と設定することで、かつて子どもの頃にミルミルを飲用していたお客さまを中心に再度飲用していただき、ミルミルブランドを無事に復活させることができました。
ヤクルト、ミルミルとさまざまなブランドがある中、それぞれに思い出がある人もいるでしょう。大人になってあらためて触れたり、飲んだりしてみると、また違った感想が生まれるかもしれませんね。
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