秋の行楽シーズン定番のお出掛けといえば紅葉ドライブ。でも、毎年懸念されるのが交通渋滞です。巻き込まれるとせっかくの楽しいお出掛けもちょっと憂鬱に。
そこで2017年10月の連休(7日〜9日)の混雑状況を、NEXCO 東日本の5代目渋滞予報士である外山敬祐(とやま・けいすけ)さんに予測してもらいました。
ちなみに「渋滞予報士」とは、文字通り渋滞を予測する専門職のことで、NEXCO 東日本で渋滞対策に取り組む担当者しか名乗れない肩書。高速道路を利用する人たちに分かりやすく渋滞について伝え、渋滞を減らすことが使命です。
取材協力
◆外山敬祐(とやま・けいすけ)さん
1985年生まれ。大学院で都市工学を学び2011年修了、同年NEXCO 東日本に入社。道央自動車道(北海道)の管理、観光庁での行政実務研修、圏央道の建設現場勤務などの現場経験を経て、2016年7月から5代目の「渋滞予報士」に就任。
ドラぷら:http://www.driveplaza.com/
予測は蓄積された過去のデータを使って行われます。例えば過去の同じ時期で直近の渋滞データ、曜日の並びが同じ年の渋滞データを用いて、そこに道路の開通状況、天候や事故などの影響、さらには周辺のイベント状況などの要素を考慮。直近の3年分のデータを重ね合わせて、今年の渋滞がいつ・どこで・どのくらい発生するのかを予測します。
今年の混雑状況はどうなるのでしょうか。まずは、同じく渋滞が発生しやすい時期である今年のお盆休みの振り返りをしてから、10月3連休のお話を聞いていきます。
今年のお盆休みの渋滞、どうだった?
――今年のお盆休みの渋滞状況はどのような特徴があったのでしょうか。
外山さん:今年のお盆期間は、10km以上の渋滞発生回数で見ると“昨年並み”でした。
今年は昨年から導入された「山の日」が金曜日となり、3連休となったことから渋滞は増えると予測していましたが、記録的な天候不順による出控え等により、結果的に渋滞回数は昨年並みに落ち着きました。
1日の平均交通量も昨年並みでしたが、路線別に見てみると、圏央道においては今年2月に茨城県区間の「境古河IC〜つくば中央IC」の開通効果により、昨年比約25%の大幅増となりました。
このようにカレンダーの曜日の並び、天候の影響、道路の開通状況といったさまざまな要因によって渋滞の起こり方は変化します。特に近年は、圏央道を始めとする環状道路の整備が進み、交通の流れに変化が生じており、渋滞の起こり方も変化してきています。
10月連休の混雑予測
――10月7日(土)〜10月9日(月・祝)の、「体育の日連休」の混雑予測をお願いします。
外山さん:例年、10月の3連休は本格的な紅葉シーズンには早いこともあり、9月の3連休ほどの渋滞は発生しない傾向にあります。しかし今年の9月の3連休は台風の影響により出控えた方も多かったと思われるため、今年の10月の3連休は例年と異なる状況になる可能性があります。
特に長い渋滞として予測しているのは、連休最終日の10月9日(月・祝)に関越自動車道(上り線)高坂SA付近を先頭に最大40km、東北自動車道(上り線)羽生PA付近を先頭に最大25kmの渋滞です。
また、この3連休に長野方面におでかけの方は注意が必要です。現在、上信越自動車道の「須坂長野東IC〜信州中野IC」の間でリニューアル工事に伴う終日対面通行規制を行っているため、渋滞が見込まれます。
特に10月9日(月・祝)は上り線で最大8kmの渋滞を予測しています。この渋滞は、車線が制限されて起こる渋滞であるため、通常の交通集中渋滞(いわゆる自然渋滞)よりも通過に時間を要するため注意が必要です。
渋滞回避のアドバイス
――この10月連休に車で出掛ける人に、渋滞を避ける方法などアドバイスをお願いします。
外山さん:お出掛け前に渋滞予測を活用して、少しでも渋滞が発生する時間、ルートを避けた計画を立てることがポイントです。NEXCO 東日本が提供する「ドラぷらアプリ」を活用すれば、出発ICから目的ICまでの複数のルート・通行料金を検索でき、ルートごとに渋滞予測を加味した所要時間を確認できます。
また、高速道路に設置されている情報板から常に最新の交通情報を収集し、空いているルートを選ぶのも重要なポイントです。距離としては多少遠回りになっても渋滞をかわすことによって、結果的に早く目的地に到達できるケースもあります。
渋滞を発生させないようにするためにできること
外山さんによれば、渋滞を回避するだけでなく、自分から渋滞を発生させないようにすることも大切だといいます。
1. 下り坂から上り坂に切り替わる「サグ」で無意識に速度を落とさない
外山さん:高速道路で発生する渋滞のうち、約半分は「サグ」と呼ばれる下り坂から上り坂に切り替わる箇所で発生します。
サグでは上り坂に変わったことに気付かずに無意識のうちに速度が低下してしまう車が現れます。後続車両はその速度を落とした車と車間距離が詰まるためブレーキを踏みます。ブレーキを踏んだそのさらに後ろの車もブレーキを踏むといった具合にブレーキが掛け算式に後方に伝達していき、渋滞が発生します。
「この先上り坂」や「速度低下に注意」という標識を見かけたら、そこは渋滞ポイントですので無意識に速度を落としてしまわないように注意して走行してください。
2. 追越・走行車線を均等に利用する
外山さん:高速道路が混雑し始めると、「少しでも先に」という思いで追越車線へ車線変更する車が多くなります。その結果、追越車線に極端に車が集中してしまいます。渋滞の大半は追越車線から発生しています。
車線を均等にご利用いただくことで渋滞発生を遅らせることができます。この10月には、特に追越車線への集中が激しい箇所である東北自動車道(上り線)の「佐野藤岡IC→館林IC」で走行車線の利用促進による渋滞対策実験を実施します。
混雑しているときこそ、はやる気持ちを抑えて、走行車線のご利用をお願いします。渋滞を避け、安全で快適なドライブをお楽しみください。
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