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「成田までヘリで」はもう夢じゃない? ヘリコプターの乗り合い便サービスが開始、お値段は?

定期便ではなく「乗り合い便」にすることで低価格化。成田便以外に、30分の箱根便、40分の初島便も。

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 都内−成田空港間をサクッと20分で。ヘリコプターのチャーター便および遊覧飛行サービスを行うAirXは10月12日、ヘリコプターのライドシェア(乗り合い)サービス「CodeShare」を開始すると発表しました。同日から予約受け付け、10月16日に運航を開始します。

photo ヘリコプターのライドシェアサービス「CodeShare

 CodeShareは、ヘリコプターを旅客機と同様に1席単位で利用できるようにしたサービス。同じ時間帯に同じ場所へ向かいたい人と、稼働していないヘリコプターの休遊時間とをマッチングさせることで、これまでのチャーター型のヘリコプターサービスより低価格な料金を実現しました。また、当日の利用であってもスマホ操作で簡単に予約手続きができるよう、予約フローを工夫しています。

 価格は東京−成田空港便で5万9800円(税込、以下同)、東京−箱根便で6万9800円、東京−初島便で7万9800円。サービス開始時の運航は、東京ヘリポート−成田空港便が平日の夕方、東京ヘリポート−初島および箱根便は金曜日の夕方と土日の午前中。定期便ではなく、ユーザーの事前予約状況に応じて事業者が運航時間を定める仕組みで、1席以上の予約が確定した時点でフライトが催行されます。

photo ライドシェア(乗り合い)サービスの仕組み
photo 利用の流れ
photo フライト区間と料金
photo 予約フローも簡略化

 かつて、赤坂のアークヒルズから成田空港へ約5万円で飛ぶ定期ヘリ便「成田エアラインコネクションサービス」が存在し、全日本空輸(ANA)もファーストクラス利用客向けにヘリで無料送迎するサービスを行っていました。あらためてCodeShareにはどんなメリットがあるのでしょう。担当者に聞きました。

Q 成田空港までヘリで20分、5万9800円。CodeShareは、これまでの手段と比べてどんなメリットがあるのでしょう。例えば成田エクスプレスならば、東京駅から約1時間で3000円ほどです。

 ヘリコプターサービスは、鉄道やタクシーを使う手段と比べて大幅な時間短縮と快適性を提供できます。成田便ですと、東京ヘリポート(江東区新木場)から成田空港のフライト時間で約20分、着陸場所から送迎車で国際ターミナルまで10分、合計30分ほどでターミナルに着きます。

 CodeShareは空港敷地内に設置されているヘリパッドへ着陸するので、着陸からターミナルまでの時間を短縮できるのも特長です。会社や自宅、ホテルなどから東京ヘリポートまでの移動も無料タクシーで送迎します。

Q かつて、「都内の高層ビルから飛び立って成田へ。5万円ほどで」といったサービスがありました。

 確かに民間ヘリコプター事業者がヘリとハイヤー(自宅や会社、ホテルなどからヘリポート、空港近辺の佐倉ヘリポートから空港ターミナルの移動)を組み合わせた定期便サービスを展開していたことがありました。しかし2017年10月現在はサービスを終えています。「ヘリで成田へ」のニーズは、一部の富裕層向けにフルチャーター型サービスが担っているのが現状です。

Q 「チャーター型」や「定期便」とは何が違うのでしょうか。

 チャーターは機体を1機丸ごと貸し切っていただく形態。タクシーやハイヤーの利用形態と同じで、利用者が1人でも、満員乗車でもチャーター料金は変わりません。都内から成田空港までの料金ですと、参考価格は片道で40万円ほど。利用は片道だけだとしても、目的地までの往路分だけでなく帰投する復路分の経費も必要でした。予約も利用日の数営業日前に行う必要がありますし、やはり富裕層向けのサービスといえます。

 定期便は、旅客機や列車、リムジンバスなどと同様に1席単位で利用料金を支払う形態です。フライトスケジュールが定められ、料金も数万円程度を実現したサービスもありました。富裕層でなくとも不可能ではない範囲の価格帯ではありましたが、機体の稼働時間と需要のバランスを取りにくく、採算が合わない課題がありました。

 それらを踏まえて、CodeShareは稼働していないヘリコプターの休遊時間を有効活用できる乗り合い便型のサービスとしました。定期便のように毎日何時何分に必ず飛ぶスケジュールではなく、1席以上の予約があった時点でフライトを催行する仕組みです。

Q 箱根や初島へも30分前後で行けるのですね。

 当社のチャーターサービスで需要が多い、箱根便と初島便も用意しました。箱根(箱根仙石原のヘリポート)便は約35分、初島便は約40分のフライトとなります。成田便はビジネス利用が大半ですが、箱根便と初島便はレジャー利用向けです。既存のチャーターサービスでは半数以上がインバウンド需要ですが、CodeShareは「思い立ったらすぐ旅へ」「ちょっとぜいたくしたい」などのプラスαの提案として新たな国内需要も生み出せるのではないかと考えています。



 ヘリコプターサービスは、鉄道やリムジンバスに比べると確かに高額です。

 片道数十万円単位だと富裕層でなければ確実に無理でしょう。しかし、数万円ならば「がんばればいける」範囲になります。「緊急時」や「新婚旅行」などの特別なとき、あるいは「空港でパスポート忘れに気が付いた」とき……。セレブでなくとも覚えておいて損はない移動サービスといえそうです。

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