トヨタ自動車は、入社10年目以上の社員に、実際の残業時間にかかわらず毎月17万円を残業手当として一律支給する新制度の導入を決定しました。残業を短くするほどメリットが大きい仕組みとなっており、仕事の能率を向上し、長時間労働を無くすのが狙いです。
新制度は14日、トヨタ自動車労働組合の定期大会で採決。対象は主任級(一般の係長クラス)以上の社員で、本人の希望で申請し認められれば適用されます。17万円は主任級の残業代だとおよそ約45時間分に相当。これを超過して残業した分は上乗せして支払われます。12月から導入する予定で、約7800人が対象となる見込みです。
制度の名称は「FTL(I)制度」(Free Time&Location for Innovation制度)といい、トヨタ自動車が「働き方改革」の一環として今春から専門委員会を設けて話を進めてきたもの。この他、年間20日間の有給を使い切ること、年に1回平日5連休を取ること(5DV制度)が義務付けられています。消化できなかった場合は制度の対象から外れされてしまうなど、休みを取ることが半ば強制された仕組みです。
導入のメリットについて、トヨタ自動車広報部は「社員本人にとっては、働く時間を短くすればするほど得するという、モチベーションが上がる仕組み。会社にとっても、どうすれば仕事が効率化できるか、働き手たちに自ら考える力を身につけてもらうことができます。長時間労働問題の解消だけでなくそうした人材育成という面でも、一律17万円はペイできると考えています」と回答。ひとまず制度を実施し、課題が生じればまた見直す機会を設けていくとしています。
(黒木貴啓)
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