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「パーソナルモビリティ」とは? 多分、ぼくらが20〜30年後くらいにお世話になっている乗りもの(1/3 ページ)

自動運転の技術は社会をどう良くしていくのでしょう。「パーソナルモビリティ」と呼ばれていた乗りものが、意外と分かりやすく私たちの近未来と社会の在り方を提案していました。

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 完全自動運転が実現した近未来のクルマ社会は、私たちの生活をどう良くしていくのでしょう。「東京モーターショー2017」では、そんな近未来のクルマ社会の在り方に対して、「(自動運転が実現したときの)車内空間と移動時間をいかに快適にするか」の提案が、「○○モビリティ」という言葉とともにたくさん示されました。

 こうした近未来のクルマに混じり、「パーソナルモビリティ」と呼ばれるカテゴリーの乗りものも多く展示されました。今回の東京モーターショーで展示されたパーソナルモビリティ(自分専用の移動手段)とは、2017年現在のモノでは自転車、あるいは車いすや電動カートが相当します。大枠では「座れるキャリーカート」もそうなのかもしれません。

 日本が向かう超高齢化社会に対して、「社会として、これからなくてはならないもの」の提案。だからこそ「これは未来の、ぼくらの足なのかもしれない」と想像しやすい現実的なものと感じたのでしょう。思わず足を止め、試乗する来場者も多く見られました。

追従するキャリーにもなる変身可能なパーソナルモビリティ──アイシン「ILY-Ai」

 アイシングループのブースに展示されていた「ILY-Ai」は、4つのモードに切り替えられる機構を備えた電動パーソナルモビリティです。

「ILY-Ai」は前面に搭載するセンサーによって、前を歩く人の動きに合わせて自動追従できます

 ILY-Aiは、座って乗る「ビークルモード」、立って乗る「スクーターモード」、荷物を乗せられる「カートモード」、歩く人の後ろを追従する「キャリーモード」に変化する機能を備え、乗る人の体調や出歩く状況などによって利用スタイルを変えられる特長を備えました。

 特に「キャリーモード」がポイントだそうです。車体に荷物を乗せて歩き出せば、勝手についてきてくれます。一定の間隔を保ったまま追従し、信号などで止まれば一緒に止まり、歩き出せば一緒に動きます。もちろん、一緒に歩くパートナーやほかのILY-Aiを検知し、隊列を組んで追従することもできるそうです。2020年のリリースを目指しています。

AutoMobili-D ILY-Ai プレゼンテーション(YouTube/Aisin Seiki)

乗る人の“感情”を読み取って自動走行──「TOYOTA CONCEPT-愛i WALK」

 トヨタ自動車の「TOYOTA CONCEPT-愛i WALK」は、立ったまま、ローラースルーGOGOのように乗るスタイルのパーソナルモビリティです。

photo TOYOTA CONCEPT-愛i WALK

 CONCEPT-愛i WALKは、AIが乗った人の感情を読み取り、乗りもの自身がパートナーとなって移動をサポートするコンセプトカー「TOYOTA CONCEPT-愛i」シリーズの1つです(関連記事)。四輪車型のほかのシリーズと同様に、パーソナル型のCONCEPT-愛i WALKは、特に小型で小回りがきき、周囲の状況を把握しながら安全に自動走行する機能を備えています。

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TOYOTA CONCEPT-愛i WALK(YouTube/toyotajpchannel)

 まずはショッピングモールや空港などの移動距離がある広大な場所や、観光地などにおけるレンタル/シェアリングサービスとしての活用からはじめて、そこから個人向けへの拡充が計画されています。

 確かに「こういう乗りもので補助してくれる」と分かっているならば、余計な心配をして遠慮したり、出掛ける意欲を削いだりはしません。むしろ積極的に出歩きたくなります。「これが当たり前」になる社会、実現の時期はかなり近いのかもしれませんね。

2人乗車が可能な小型車タイプの自動運転コンセプトカー「TOYOTA Concept-愛i RIDE」

移動を楽しく快適にする──電動車いす「WHILL」の多彩な魅力

 スタイリッシュで楽しそうなデザインの電動車いす「WHILL」も注目されていました。

photo 電動車いす「WHILL」

 WHILLは、ベンチャーのWHILL社(関連記事)が開発している新世代の車いすです。思わず乗ってみたくなるデザインだけでなく、独自開発したというタイヤとステアリング機構によって、小回りが利き、思うようにスイスイと移動できるように工夫されています。最新型の「Model C」ではハイエンドモデルの「Model A」から軽量化を実現し、価格が半分以下の約45万円に抑えられました。

 WHILLは、2つの前輪で異なる2軸の回転を実現する機構を備えます。前向きの回転と同時に横向きの回転も発生させる独特な仕組みのタイヤ「オムニホイール」によって、くるりとその場で回転できるくらいの小回り性能(回転半径は約76センチ)を実現します。一般的な電動車いすに対して、約半分の回転半径で済むそうです。また、タイヤの切れ角に相当するスペースも必要なくなるので、足元のスペースを広く確保できるメリットもあります。

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 東京モーターショーではこのModel Cの派生版として、パナソニックと共同開発している通信機能を搭載するロボット車いす「WHILL NEXT」も出展されました。センサーと車両制御技術によって、自律移動、自動停止、隊列走行を行うための技術検証が完成間近にあるそうです。

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ロボット電動車いす『WHILL NEXT』と交通案内サイネージ(YouTube/Channel Panasonic - Official)

 このほかにも、早稲田大学およびNTTと共同で、乗る人の「技能」に加えて、「心理状況」の面でも支援する新世代走行システムの開発が進んでいます。乗っている人の走行状況や利用時間、慣れなどの身体的情報から、心理状況(不安など)を示す瞳孔の開き具合などの情報も分析して、「その時、その人個人に寄り添った運転支援」を行うことを目指しているそうです。

photo センサーを備えて自律移動も可能になる「WHILL NEXT」

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