12月といえばクリスマス。イルミネーションや飾りもきれいですが、店頭に並ぶクリスマスを祝ういろいろなお菓子は、それこそ見ているだけで幸せな気持ちにしてくれます。
まさに「花より団子」とはこういうこと? と思ってしまいますが、最近の傾向としては、「100人乗っても大丈夫!」で知られる物置のCMをほうふつとさせる、かわいいサンタがパレード状態に乗ったケーキが話題になるなど、味だけでなく見た目も大切になっているようです。
そこで今回は、クリスマスのお菓子の中でも、見た目もかわいくていろんな形が楽しめるジンジャークッキーについてご紹介します。
魔よけにもなったジンジャークッキー
クリスマスの伝統的なお菓子の1つ、ジンジャークッキーは、しょうがを練り込んだ伝統的なクッキーです。ジンジャービスケット、ジンジャースナップ、ジンジャーブレッドなどと呼ばれることもあります。
ヨーロッパやアメリカなど各地で作られていますが、それぞれの家庭でレシピは少しずつ変化します。すりおろしたしょうがを入れる、ジンジャーパウダーを入れるなど、しょうがの風味をどれくらい利かせるかでも作り方は変わります。またシナモンやナツメグなどの香辛料を入れることもあります。
しょうがや香辛料を入れることで、お菓子の日持ちがよくなるということもありますし、こうした強い香りのある食材には魔よけの力があるとも考えられていたようです。
貧しくてもお祝いはできる。秘密はジンジャークッキーの形に
ジンジャークッキーには、いろいろな形があります。クリスマスツリー、七面鳥、星、サンタクロースなど、想像力に任せて好きな形が作れるというのもジンジャークッキーの魅力です。
一説によると、クリスマスにジンジャークッキーを食べるようになったのも、このデザインの自由度の高さにあるとか?
古来、貧しくてクリスマスの食事を用意できなかった人々が、クリスマスのごちそうをかたどったクッキーを焼いてお祝いをしたところから、ジンジャークッキーが広まったともいわれています。
定番の人型。ジンジャーブレッドマン
ジンジャークッキーの中でも、人のかたちをしたものを、ジンジャーブレッドマンといいます。
子どものいないおじいさん、おばあさんがジンジャークッキーで子どもを作ったら、元気に外に飛び出していってしまったという昔話もあるように、その形は元気なわんぱく坊や、といったイメージのもの。丸っこい頭に、丸っこい手足。確かに今すぐにでも走り出しそうですね。
このかわいいジンジャークッキーは、ステッキの形をしたアメと一緒にクリスマスツリーの装飾にも使われます。
ジンジャーブレッドマンの由来については、黒死病といって恐れられたペスト予防のため、しょうがを食べることを奨励したイギリスのヘンリー8世をモチーフにしたという説が今に伝えられています。
お菓子の家もジンジャークッキー?
ジンジャーブレッドマンだけでなく、クリスマスには家までジンジャークッキーで作ってしまうこともあります。それがジンジャーブレッドハウス。
ドイツではヘキセンハウス(ヘクセンハウス)と呼ばれ、「魔女の家」という意味があるそう。『グリム童話』にある、ヘンゼルとグレーテルのお話に登場する、あのお菓子の家といえば分かりますね。
クリスマスの風物詩にもなっていて、ジンジャークッキーだけでなく、チョコレートやマシュマロ、アメやグミなどいろいろなお菓子を使って作ります。海外では、クリスマスのシーズンになると、公共の場でもこのジンジャーブレッドハウスが飾られたり、ジンジャーブレッドハウスのコンテストなども開かれるそうです。日本でも家庭でも作れるキットなど販売されています。
──幸福の象徴ともされている家をお菓子で作ってしまうなんて、二重の幸福を感じてしまいそう。古くから薬としても用いられ、体を温める効果があるしょうがをクリスマスに食べることで、寒い冬を元気に過ごす……。ジンジャークッキーにはそうした先人の知恵も、込められているようです。
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