「データがtxt形式で保存されてる」「ここまでいじれるとか本当やばい」―― 混乱広がる「きららファンタジア」で一体何が起こったのか:モバクソ畑でつかまえて(2/3 ページ)
既に運営側が見解を発表していますが、実際は言われているような「いじり放題」ということはありません。
「データファイルを自由にいじれる」とウワサに
「きららファンタジア」は『まんがタイムきらら』に掲載されている作品のキャラクターたちが異世界で冒険するというスマートフォン用ゲームです。皆スムーズなスタートにはあまり期待していませんでしたが、案の定12月11日のリリースからトラブルが多発(関連記事)。一時休止を挟んでの再開後も障害は継続していました。
そんな状況の中、運営は12月18日にクリスマスイベントを開催すると告知。それに合わせてメンテナンスを行い、一部の不具合は解消されました。ですが、その夜別の問題が発生します。同作ではレベルアップやステージクリアなどのミッションをこなすことで、ガチャを回すための星彩石というアイテムが手に入ります。そのミッションの報酬画面から、星彩石が複数回受け取れてしまうという現象が発生したのです。何回か受け取りボタンを押しているとエラーでタイトル画面へ戻るのですが、それを繰り返しているうちに、突然臨時メンテナンスへ突入。メンテは翌朝まで終わることはありませんでした。
私の手元では増えた石は回収されていたのですが、この後5ちゃんねるやTwitter上で「石が回収されていないユーザーがいる」という指摘があり、さらに「まだ石が増やせる」という話や、多数の石を所持した画像も流れてきました。
そして翌日には「ゲーム内の暗号化されていないファイルを操作することで石も増やし放題、キャラクターの能力もいじり放題」というウワサが流れ、実際にHPを1万に増やして戦っている画像もTwitterに投稿されます。加えて「GitHub(※)にきららファンタジアのソースコードが掲載されている」という話題や「改造済みのAndroidアプリがダウンロードできる」など、まるで「自由にデータがいじり放題」であるかのような話題が次々と出てきました。
その後、運営側は「ネットに流れている29万石持っているユーザーはいなかった」「増えているように見える石は見せかけだけで、実際サーバの上のデータは改ざんされていない」と発表、話題は沈静化の方向に向かっています。ここまでが現在までに起こったことのまとめです。
「いじり放題」は本当だったのか
では、実際のところはどうだったのでしょうか。話題になったファイル「PlayerPrefs.txt」ですが、中身を見る限りでは“どのデータがどこに置いてあるか”を記載したファイルでしかなく、これを多少書き換えたとしてもゲーム内の数値を変えたりすることはできません(公式発表によれば、「サーバーからダウンロードした情報を一時的に格納するためのファイル」)。そもそもこのファイルが見つかった時は「これでファイルの置き場所は分かった。だからファイルを差し替えたら好き勝手いじれるのでは」という話題だったのですが、これが次第に「これ自体にゲームのデータが保存されている」と誤解され、ここから「データいじり放題」と話がエスカレートしていったのではないかとみられています。
一方、GitHubにあったデータはどうだったかというと、こちらは「きららファンタジア」のソースコードではなく、実際は「ガチャを回す仕組みに外からアクセスして、高速でリセマラ(※)を行う」ためのシステムでした。これは実際に動くかどうかは不明です。
ここまでの状況から、少なくとも一部で騒がれているような「テキストファイルをいじるだけで簡単に改造できる」ゲームではないことはお分かりいただけたでしょうか。ただ「改造済みのapkファイル」は実際に配布されており、宣伝文句として「敵が1発で倒せる」などと記載されていたりします。ただ、この改造アプリも動くかどうかは不明です。
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