2017年発表された都道府県の「魅力度ランキング」で、5年連続の47位、すなわち最下位となった茨城県。もはや魅力度最下位であること自体が魅力と化してきた感すらあります。
ところで、茨城県の話題になると、必ずと言っていいほど誰かが「イバラ“ギ”じゃなくてイバラ“キ”!」と主張し始めます。それはもちろんその通りで、「茨城」は「いばらき」と読むのが正解です。
では、私たちは一体どうして「茨城」を「いばらぎ」と読んでしまうのでしょうか?
茨城県民自身が「いばらぎ」と言っている?
「茨城」を「いばらぎ」と読んでしまう原因は、「いばらき」だと主張しているはずの茨城県民のせいだ、とする説があります。一見逆説的ですが、その原因とは……?
それはズバリ、「茨城弁」と呼ばれる方言です。茨城弁には、文頭以外のカ行やタ行が濁る傾向があります。例えば「柿」は「かぎ」になり、「分からない」は「分がらない」になります。同様に考えると、「いばらき」も「いばらぎ」になってしまいます。
この結果、県民自らが発音している「いばらぎ」が広まってしまい、誤解されるようになったという説です。
「宮城」からの類推説
しかし、大阪生まれの筆者はそれでは納得できません。なぜなら、上京するまで茨城出身の人と会ったことがなかったからです。茨城弁を話す茨城県民と会ったことがないのに、「いばらぎ」だと勘違いしている人もいるはず……! ということで、自分が納得できる答えを探してみました。
さて、茨城県民でなければ、「茨城県」という字を初めて習うのは小学校中学年の社会の授業でしょう。都道府県名と場所、県庁所在地をまとめて覚えたはずです。
このとき、一緒に覚えるのが「宮城県」です。2県に共通して使われる「城」という漢字。これも小学4年生で習うのですが、その読み方は「ジョウ」と「しろ」しか習いません。
実は「城」を「き」と読むのは、常用漢字表外の読み方。学校では習わないのです。
それもあって、「宮城県」の「城」が「ぎ」と読むように、「茨城県」の「城」も「ぎ」と読むはずだ、と勘違いしてしまうのではないでしょうか。その逆、「宮城県」を「みやきけん」と読むのは、いささか違和感がありますし。
ちなみに宮城県のように、「宮(みや)」+「城(き)」=「宮城(みやぎ)」と濁ることを連濁と言います。「鼻(はな)」+「血(ち)」=「鼻血(はなぢ)」などもそうですね。
では茨城県はなぜ連濁しないのか。
それは、「茨(いばら)」にはすでに濁音が含まれているから。日本語では、濁音が含まれている単語を組み合わせた場合、連濁は起きにくい傾向が知られています。
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