後ろに倒れ込むようにして銃弾を回避する、通称「マトリックス避け」をご存じでしょうか? コンピュータに支配され、人類が仮想空間で生きるようになった世界を描いたSF映画「マトリックス」(1999年公開)に登場する有名なアクション。「ちょっとマネしてみたけど、結局できなかった」という人も多いのでは?
……でも、あの避け方、現実世界では本当にできないのでしょうか。今回は物理エンジンを使って、可能性を探ってみました。
今回は「10メートル先の相手が秒速345メートルの銃弾を発射してくる」という設定でシミュレーションしました。銃弾が自分に届くまでの時間は、わずか0.029秒。目にもとまらぬ超高速でのけぞらなければ、マトリックス避けは実現できません。
物理エンジンを使って、まずは足を固定した状態で検証してみました。腕を振ってバランスを取りながら後ろに倒れると、モデルの上を銃弾が通過。弾が止まったところで体を起こして、難なく成功しました。
姿勢維持などにかなりの力が必要そうなので、簡単にマネできるとは思えませんが、「マトリックス避けは、現実世界では絶対にできない」というわけでもないようです。
※作中のマトリックス避けは、のけぞるところまではうまくいきますが、運悪く1発だけ足に当たっており、完全には成功していません。
では、足を地面に固定していない状態でマトリックス避けをすると、どうなるのでしょうか。先ほどと同じように、超高速でのけぞろうとすると、なぜか体は空中へ。検証に使われた人型のモデルは腕をバタバタさせながら、どんどんと地面から離れていってしまいました。ぐぬぬ、なぜこんなことに……。
この現象について、動画コメントでは「重力による落下速度を超える速さで、体を下げようとしたからではないか」との推測が。足を固定していたときは、体を下方向に動かす力が生み出せましたが、ただ立っているだけの状態ではそれができないため、おかしなことになってしまったというわけです。
しかし、体はその後も上昇して、なんと銃弾が届かない高さに到達。陸上競技の高跳びのように、アクロバティックな姿勢で弾道を飛び越え、弾を避けきっています。……な、なんか思ってたのと違うけど、これはこれで成功!
というわけで、今回の検証結果。「現実世界でもマトリックス避け(っぽい何か)は可能かもしれない」。
なお、今回の動画では、見やすさを重視して銃弾の発射を少し遅らせているシーンが。そのため、同じタイミングでマトリックス避けをするとケガをしてしまう可能性があります。人類の未来を賭けた戦いに身を投じる際は、くれぐれもご注意ください。
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空を自由に飛びたいな。