毎月4万5000円〜7万2000円の「松戸手当」を、市内の保育士へ勤務先からの給与とは別に支給する、千葉県松戸市の取り組みがTwitterで注目を集めています。
同市内で働く保育士(正規職員)に、給与に上乗せした額を市から補助する制度。支給額は勤続年数によって異なり、1〜12年目では4万5000円、13〜20年目では4万6000〜7万2000円となっています。
加えて、新卒で松戸市の保育園等に就職した人には、最高月額3万円の家賃補助や就職の準備にかかる費用を一部負担するといった支援も。また、保育支援者として働きながら保育士の資格取得を目指す人には、受験費用などが助成されます。
こうした手厚い施策を打ち出している松戸市に、ねとらぼ編集部は「松戸手当」の成り立ちや反響について聞きました。同市は1988年から独自で保育士へ補助金を支給していましたが、2017年10月から増額を行って現在の形になったとのこと。その背景には、近隣自治体へ人材が流出する危機感がありました。
同様の施策は既に他の自治体も採用しており、隣接する東京都は2015年度に「保育士等キャリアアップ補助金」を創設し、2017年度には支給額を最大4万4000円まで増額(参考資料)。千葉県内の各自治体も追随する動きを見せています。
民間の保育園等を対象に実施したアンケートでも人材流出への危機感が見られ、「各市町村が増額策を打ち出すなかで、松戸市が保育士を確保できなくなるのではないかとの懸念もあり仕組みを変えた」と担当者。若手保育士の手当も、もともと高くなかったため改善したとも。
反響について聞くと、制度はまだ始まったばかりで具体的な数字は出ていないものの「手ごたえはある」との回答。特に若手職員からは好意的な意見が多かったそうです。成果が出るまで時間はかかるかもしれませんが、待遇改善により保育士の意識や志望者数が向上し、大人が安心して働きつつ子どもを育てられる環境が広がればと願うばかりです。
(沓澤真二)
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