あなたは聞いたことがあるだろうか。「1つのクラスに必ず同じ誕生日の人が1組以上いる」という噂を……。
うるう年の場合、1年は366日。1クラスあたりの学生数は、学校によって異なりますが、仮に40人だったとしましょう。
この中で同じ誕生日のペアができるなんて、直感的には「運が良いと、そういう不思議なことも起こるよね」くらいの話にしか思えませんが……実際のところ、どうなのでしょうか。
余事象の確率
噂が本当なのか、確率を使って考えてみましょう。求めるのは、40人のクラスに誕生日が同じ人がいる確率です。
日数が366日で、クラスが40人であることから「この2つの数字で割り算すればいいのだろう。40/366を計算しよう」と単純に考えてしまうと、問題の本質を見誤ります。
正解にたどり着くためのポイントは、問題の言い換え。誕生日が同じ人がいる確率を直接出そうとするのではなく、「全員が同じ誕生日に“ならない”確率を出してから、引き算すればいい」と捉えるのです。
というのも、同じ誕生日になる確率とだけ言うと、同じ日に3人が被っている場合、誕生日が同じペアが2組ある場合など、とても多くの場合を考えなければなりません。しかし、余事象(知りたい出来事の反対の出来事のこと)の確率の考え方を使えば、全員が別の誕生日である確率を求めるだけでよいのです。
いざ、計算
それでは、うるう年生まれの学年のクラス(40人)に、誕生日が同じ人がいない確率を計算してみましょう。
まず1人目は366日のうちどの日付でもよいので、366/366 = 1 。つまり、1人のクラスだと誕生日が同じ人がいない確率は100%(全員の誕生日が違う)ということです。当たり前。
2人目の誕生日は、1人目と違う日付です。すなわち、2人目の誕生日は366通りのうち、1人目の日付を除いた365通りしかありません。そこで、「366/366 × 365/366」を計算すると、答えは0.997。99.7%という高確率で、2人の誕生日が違うことになります。まあ、そうでしょうね。
3人目でも同じことをして、366/366 × 365/366 × 364/366 = 0.992(99.2%)。この調子で40人分やれば完了です。暗算だと泣きを見そうな計算量なので、今回はExcelを使うことにしましょう。われわれは賢いアニマルなので。
A列に「生徒数」、B列に「誕生日が被らない残りの日付数」を入力して、C列にこれらを元にした計算結果「全員の誕生日が被らない確率(※)」を出力します。
※n人目の誕生日を選ぶ確率(A列/B列)に、n-1人目(1つ上のセル)の計算結果を掛けたもの
すると、40人クラスで誕生日が同じ人がいない確率は0.109(10.9%)まで落ちることが分かります。したがって、4誕生日が同じ人がいる確率は、1-0.109=0.891(89.1%)。9割近い確率で、クラスの中に同じ誕生日の人がいることになります。
というわけで、今回の結論。「1つのクラスに必ず同じ誕生日の人が1組以上いるという話は、数学的に考えると当たり前」。
日本人の多くが10年以上学校に通い、小学校、中学校、高校と大きな生徒の入れ替えがあることを考えると、一度も誕生日被りを見ない人の方がよっぽどレアなはずです。
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