立春がすぎ、暦の上では春ですが、まだまだ寒くて布団から出るのは相変わらずしんどいです。
あまりにも寒い夜には、湯たんぽを使っています。ぬくぬく。その時、お湯を沸かすのですが、水って沸騰したら蒸発しますよね。いれた水が減っちゃうんだよなあ。
はて、蒸発と沸騰って同じですか? 違いますか? よく分からんぜ。
蒸発・沸騰・気化、それぞれの意味
それぞれの意味を辞書で調べてみます。
蒸発
液体または固体がその表面において気化する現象。「水分が―する」
(引用元:広辞苑 第六版)
沸騰
液体を熱したとき、その蒸気圧が液体の表面にかかる圧力よりも大きくなると、内部から気化が生じる現象。
(引用元:広辞苑 第六版)
気化
物質が液体から気体に変わる現象。蒸発と沸騰とがある。また、昇華を含めることもある。
(引用元:広辞苑 第六版)
なるほど、つまり液体から気体に変わる現象全体を「気化」と呼び、蒸発も沸騰もそれに含まれるわけですね。さらに、沸騰は内部から気化する現象で、蒸発は表面が気化する現象であることが分かりました。
いまいちピンとこないので、もう少し掘り下げてみましょう。
固体・液体・気体、それぞれの形
そもそも、固体・液体・気体は、水分子そのものが形を変えているわけではなく、水分子の集まり方が変わっているのです。
水分子が固体でいるときは、氷と呼ばれます。これは、水分子がぎゅっとくっついており、1つ1つの動きはとても小さいです。液体は、固体ほど規則正しくはないので、水は広がったりします。さらに気体となると、水分子は激しく運動し、その姿はバラバラになってしまうので見ることは困難になってしまいます。
さて、水で考えると直感的に分かるかもしれませんが、固体→液体→気体の変化は、温度が上昇することで起こります。温度が上がることで、水分子が運動するエネルギーとなるのです。
つまり、温度を上げると蒸発や沸騰が起こるのは、水分子が熱を持って自由になっていくからなのです。
沸騰とは一体?
沸騰が水の温度を上げることで起きる理由は分かりました。
水を熱することで、つまり水の内部に気体が生まれます。これは水蒸気(水の気体)です。水蒸気が集まっていると、水の中で泡になっているように見えます。
この泡の形を保とうとする水蒸気の力(圧力)を「蒸気圧」といいます。
対して、この水が存在する周りには空気があります。すなわち、大気圧が存在します。
蒸気圧が小さいと、大気圧に押されて、水蒸気は泡の形を保てません。水蒸気が泡の形を保つための条件は「大気圧と蒸気圧が等しい」ことです。
大気圧と蒸気圧が等しく、水の中でぶくぶくと泡ができているこのときを「沸騰」と呼びます。
では、蒸発とは?
「沸騰したら蒸発する」イメージを持ってしまいがちですが、お湯を沸かすとき、沸騰する前から湯気が出ていませんか?
お湯からわき立つ湯気の正体は、お湯の液面から蒸発した暖かな水蒸気が空気中で冷えて細かな水滴(液体)になり、白く見えるようになったもの。お風呂の湯気も同じです。水は100度にならなくても蒸発します。沸騰しないと水は蒸発しないように考えてしまいがちですが、40度程度のお風呂の湯気を見ても分かるように、蒸発は水がどんな温度でも起こりうる現象です。
2018年5月17日18時30分 追記:記事初出時、「湯気の正体は水蒸気」と記載していましたが、誤りを含む表現だったため上記の通り修正しました。
たくさんの水分子の集まりの中には、高いエネルギーを持っている分子も存在します。この分子は、液体から気体に変わる力を持っていることになります。そして、その水分子は気体に変わります。これが蒸発です。
しかし、温度の低い液体では、高いエネルギーを持った水分子の数が少ないので、とても小さい水分子が蒸発するのを目にするのは困難なわけです。
洗濯物が乾くのも、水分子が蒸発するからです。100度にならなくても蒸発が起こるのは、お風呂や洗濯物をイメージしても分かります。
つまり、沸騰したら蒸発は起きるけど、沸騰する前から蒸発は起きているのです。目に見えづらいだけだったのですね。
まとめ
蒸発は、液体が表面から気化する現象で、沸騰は、液体が内部から気化する現象です。
ちなみに、100度で沸騰が起きるのは、大気圧が1気圧のとき。山の上などで大気圧が低くなると100度にならずとも沸騰します。山でカップラーメンを食べるときにはぜひ、沸騰する温度を計ってみてはいかがでしょう。
【2018年5月17日9時45分追記】:「湯気の正体は水蒸気」としていましたが、誤解を招く表現のため、注釈を追記しました。
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