Facebookのユーザーの個人データ約5000万件が不正に流用されたと報じられた件について、マーク・ザッカーバーグCEOが状況や対策を明らかにしました。
この問題は、Facebook向けのアプリを開発していた英ケンブリッジ大学の研究者アレクサンドル・コーガン氏が、アプリから取得したユーザーデータをデータ分析企業Cambridge Analyticaに渡していたというもの。Cambridge Analyticaはこのデータを2016年の米大統領選のために利用したと報じられています。
何が起きたのか、どうやって再発を防止するかを理解するべく取り組んでいるとザッカーバーグ氏。再発防止の対策は数年前に導入しているものの、「われわれはミスを犯した。もっとやるべきことはあった」と述べています。
コーガン氏は2013年にFacebook向けの心理テストアプリを開発し、約30万人がこれを利用して、自身のデータと友人のデータの一部をアプリに共有していました。同氏は数千万人の友人のデータにアクセスできたことになるとザッカーバーグ氏は説明しています。
2014年にFacebookは、不正利用防止のために、アプリがアクセスできるデータを大幅に制限するなどの対策を導入しましたが、翌2015年、コーガン氏がアプリから得たデータをCambridge Analyticaに提供していたことをジャーナリストから知らされます。ユーザーの同意を得ずにデータを他者に渡すのは規約違反であり、同社はコーガン氏のアプリを即座に停止するとともに、両者にデータの削除を求めました。両者とも、このときデータを削除したと保証しています。
しかしFacebookは2018年3月に、Cambridge Analyticaがデータを削除していなかった可能性があるとGuardianやNew York Timesから知らされました。一方Cambridge Analyticaはデータを削除したとし、コーガン氏から提供されたデータを大統領選に使っていないと主張しています。
Facebookはこの件への対策として、2014年のルール変更前に大量の情報にアクセスできたアプリを全て調べること、アプリ開発者によるデータへのアクセスをさらに制限すること、ユーザーがどのアプリに個人情報利用を許可しているか分かりやすくすることを挙げています。
Cambridge Analyticaのような問題は新しいアプリでは起きないはずだが、過去に起きたことは変えられないとザッカーバーグ氏は語り、今回の件から学んでコミュニティーをより安全にすると述べています。
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