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「子持ちのおじさんゲーマーにも夢を持ってほしい」 トッププロゲーマーを影で支え続ける“プロゲーマーの嫁”の内助の功(2/3 ページ)

「西のウメハラ」とも呼ばれたトッププレイヤーの妻であり、マネジャーでもあるakikiさん。私生活やeスポーツシーンについて話を聞きました。

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―― sakoさんとは「プロ格闘ゲーマー」という仕事が日本に存在しない時から一緒にいたわけですよね。

akiki: そうです。でも、ずっとゲームしている人だったので「こういう仕事をした方がいいんじゃないか」とは思ってました。昔「ゲーム 仕事」とかで検索したことがあって、当時の日本にプロゲーマーという仕事はほぼなかったけど、韓国にはあったんです。それで「本気でゲームを仕事にしたいなら、私も韓国に行ってもいいよ」と言ったことあります。

―― sakoさんは普段どのくらいゲームの練習をしているんですか?

akiki: 少なくとも10時間くらいは。あと練習のゲームもそうなんですけど、趣味のゲームもやるんです。起きたら布団の中でスマホゲームを始めて、起きてから格闘ゲームやったりするので。起きてる時間はずっとですね。

―― 毎日10時間も練習してプライベートな時間もゲームするとなると、ゲームが苦痛になったりしないんですかね。

akiki: それは全く無いですね。病的だと思うんですけど、本当に楽しそうです。

―― スマートフォンのゲームでは課金とかするんですか?

akiki: ……するんですけど、実はすごいエピソードがあるんです。あるとき、大会賞金で60万円くらい獲得したときに賞金を口座にそのまま置いといたんですけど、数カ月後に「引き落としができません」って通知がきて……。

―― ……もう嫌な予感がしますね。

akiki: 気がついたらアプリへの課金で貯金を全部使っちゃってたんです。しかもsakoは何に使ったのか覚えてないんですよ。もともとあの人にはカードを使わせないようにしてたんですけど、『週刊少年ジャンプ』をそのへんに散らかしておくので「電子書籍にしなさい!」ってカード使えるようにしたのが間違いでした。

 しかも「俺課金してないよ」とか言うんですよ、でも使用履歴から分かるじゃないですか。しかも、自分のお小遣いの範囲でiTunes Cardをマックスまで買ってるのにそんなことになったので、びっくりしすぎて怒れなかったですよ。でも、本人はこないだの生放送中に「怖いで、課金は。みんな気いつけや」とか言ってました(笑)。

―― (笑)


akiki sako プロゲーマー 嫁 sakoさんは『ファミ通App』を愛読していたそうです(画像はエンターブレインより)

「お前のクソ旦那がハメで勝ってうれしいか」

―― sakoさんはプロゲーマーなので結果をすごく気にするだろうとは思うんですけど、大会結果が振るわないときは落ち込んだりするんですか?

akiki: あの人、負けただけでは落ち込まないんですよ、負けたときはむしろこっちの方が落ち込むくらい(笑)。でも、自分のやりたいプレイができなかったときは嫌な気分になるみたいです。

 簡単に勝てるような流行のセットプレイがあったとしても、「そんなん技術が必要なわけじゃないし、誰がやっても一緒やん。そんなんするならプロゲーマーやめるわ」とか言うんですよ。“自分が持ってる知識や技術で勝たないと意味がない”という理想のプレイが常にあるんですよね。

 今は短い期間で研究を進めないといけないので対戦動画を見たりするんですけど、以前はそういう情報を遮断してたほど。人のプレイを見ると先入観が生まれて自由な発想ができなくなると。


akiki sako プロゲーマー 嫁 そのオリジナリティーあふれるプレイもsakoさんの特徴の1つ

―― ネットの情報に関して言うと、akikiさんはTwitterで情報発信していて、格闘ゲーム界の広報係のようになっていますよね。

akiki: もともとTwitterのアカウントは持ってたんですけど、sakoが海外の大会に招待されたとき格ゲー友達が「俺たちのsakoが大会に招待された!」ってお祭り状態で、「sakoはマメじゃないからakikiが現地から情報ツイートしろ」って指示があったんです(笑)。それで発信し始めたのがきっかけでした。そこで同じ大会に出ていたときどさんとウメハラさんの情報もつぶやいたら「今ときどさんの状況は? ウメハラさんはどこまで勝ち上がってる?」みたいに質問が飛んでくるようになって、みんなが知りたいことなら共有しようと。気付いたら今みたいなスタイルになってました。今ではTwitterのDMでいろんなメッセージがきます。暴言とかもありますよ。

―― え、どんなのがくるんですか?

akiki: 例えば「ストリートファイターIV」のころにウメハラさんに勝ったときは「お前のクソ旦那がハメで勝ってうれしいか」とか(笑)。逆に勝てないときは「お前が悪い。マネジャー辞めろ」とか。最近多いのは……「ストリートファイターV」の定期放送中に「ドラゴンボール ファイターズ」をやろうとしてたのを止めたら「sakoさんがやりたいのをあの女はやらせないのか!」「お前のせいでsakoさんがドラゴンボールをやれないじゃないか!」みたいなのがひっきりなしにきてます(笑)。「ストリートファイターV」の定期放送として楽しみにしてる人がいたら悪いからって理由で、その1回止めただけなんですけどね。この場を借りてお伝えすると、放送外でプレイするのを止めたことはないし、モンハンが発売されたせいでプレイ時間が足りてないだけです(笑)。


最年長だからこそ辞められない

―― 世界大会でも複数回優勝しているsakoさんですが、もしプロゲーマーを辞めたいと言い出したらどうします?

akiki: 辞めてもいいですよ。保険じゃないですけど、最初は兼業プロゲーマーという形で始めてますし、プロゲーマーを辞めたら元の仕事一本に戻ればいいじゃないという形だったんです。今では結局専業プロゲーマーになりましたけど、辞めたら別の仕事すればいいじゃないという感じで、スタンスは変わらないですね。

―― でも、お話を聞いていると「やりたくないことはやりたくない!」ということになりそうな気もしますね(笑)。

akiki: 私も「結局この人はゲームやってたほうが良いな」って思ってます(笑)。だから、セカンドキャリアは考えていて、今後もゲームに関わることはさせてあげたいんです。例えば、スポーツ選手だったら引退した後に解説の仕事を始めることがあるので、人前でしゃべる練習をさせる目的で生放送を始めたり。

―― 確かに、素人には分からない世界だからこそ、解説が重要になりますよね。

akiki: 私も長らくsakoと一緒にいますけど、格闘ゲームのことは全然分からないんです。去年のEVOの決勝も「あのジャンプは昨日の布石があったから……」とか言っててわかんなかったんですけど、ねとらぼさんの記事を見て「ほぉ〜」となりました(笑)。本当に解説や実況は重要ですよね。あとは……後進の育成としてコーチングもしています。


akiki sako プロゲーマー 嫁 コントローラーの監修を行うことも

―― 今後、そういった周辺領域の需要も大きくなるんでしょうね。

akiki: 他にもいっぱい出てくると思いますよ。私がほしいのは野球でいうスコアラーみたいなポジション。今度の対戦相手がどんなキャラクターを使用してどんなプレイをするのかとか、具体的には“1ラウンド中に何回前ジャンプしたか”とか、今は自分で調べているので別の人にやってもらえたら楽ですよね。データ分析は格闘ゲームに精通してないと絶対できないですから。あとは英語ですね。ゲームの世界は専門用語も多いので単に語学力があるだけでは通訳できないですが。

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