キャラクターの生存戦略 不人気キャラが作品で生き残るためにもがく漫画に胸を打たれる(1/4 ページ)
あまり人気の出ていないキャラクターも、作品の中で生きたいともがいているかもしれません。
主役グループにいるのに人気がないアイドルキャラクターが、嘆きながらも作品の中で必死に生きていこうとする姿を描いた漫画「ヒ・ジツザイ・セイショーネンズ」がpixivで公開され、マイナーキャラクターファンの心を掴んでいます。
作品を描いたのはpixivユーザーのおにつちさん。二次元の世界で生きる非実在のキャラクターたちが実はどこかに存在していて、ファンの人気を得ようと努力している姿を描いています。
この漫画の主人公は「壱猛田ジン」くん。「爆音デッドオブナイト」(通称「爆デナ」)という、アニメ化もされた人気漫画のアイドルキャラクターです。しかし作品ファンからですらお金を出したくないと言われるほどの不人気キャラで、そのために公式からも粗雑に扱われています。
他のキャラクターはキャラソンやダンスの練習などアイドル活動に切磋琢磨していますが、もともと不良漫画だった爆デナのキャラクターとして生まれたジンとしては、いまだにアイドルものへの路線変更に納得できません。
仲間の元を飛び出したジンは、人気がないまま打ち切られた作品のキャラに出会います。爆デナの作者が気に入っているおかげで、そのキャラはネットではちょっとしたブームになっていました。彼は自分を生かせる場所であればどんな場所でもなんだってやってみせるとものすごい意気込みを見せますが、元作品がなくなってしまった彼の存在もいつしか忘れ去られる存在ということもまた理解しています。そしてついに、現実世界で話題にされなくなった彼は消えてしまいました。
ジンはキャラとしての死よりも、作品の中で生きていくことを選択しました。その甲斐あって爆デナ2期では新規ファンを獲得することに。いろいろ悩みながらも一生懸命頑張っている姿が、まさしく生きている人間そのもののように見えたのでした。
この作品には「マイナーでも誰かが応援していればそのキャラが活躍できると感じた」「今まで好きになったマイナーキャラのことが頭に浮かんで、これからも自分の中で大事にしていこうという気持ちになれた」など、人気がなくてもそこに生きているキャラクターを大切にしていきたいという声が寄せられています。
今はあまり人気の出ていないキャラクターがいても、もしかしたらそのキャラも作品の中で生きたいともがいているかもしれません。自分が好きになったキャラがたとえマイナーだとしても、応援を惜しんではいけないと思わせてくれる作品でした。
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