戦国時代に転移したオタクが、コミケでの経験を生かして活躍する『戦国コミケ』や、妻子とのコミカルな日常を描く『きょうの横山家』――多彩な作風の漫画を世に送り出し、紙でWebでとマルチに活躍する横山了一先生(@yokoyama_bancho)。この連載では、Twitterで好評を博した横山先生の作品を不定期にお届けします。
今回紹介するのは「Instagramのフォロワー数で強さが決まる異世界転生漫画」。
Instagramのフォロワー数で強さが決まる異世界転生漫画
主人公のミツルが目を覚ますと、そこは凶暴な魔物が跋扈(ばっこ)するファンタジックな異世界。そんな中、おしゃれさんたちがスタイリッシュに敵と戦っています。彼らのそばには「5万9000」「7万2000」と、強さを示す数字が。どうやらここはインスタのフォロワー数が、そのまま戦闘力として発揮される世界のようです。日本人なら渡辺直美さんが最強だな。
しかし、インスタに暗いミツルのフォロワー数(=強さ)は21しかなく、仲間に守られるばかりです。そんな折、彼らの前に強力な魔物が登場。人気インスタグラマーたちを一瞬で倒してしまいます。万単位のフォロワー数でもかなわないだと……。
独り残されたミツルが死を覚悟した瞬間――なぜか彼の強さが85万6800へ激増。右手から立ち上る“青い鳥のような”オーラで、魔物をたやすく葬ります。実はこの世界、インスタに限らずネットでの注目度ならば何でも強さに反映されるようで、土壇場で彼のTwitter力が発揮されたのです。
かくして、「これでも僕、Twitterでは“そこそこ”なんで……!」とうそぶく、ミツルの今後の活躍を示唆して漫画は幕を閉じるのでした。日本でフォロワー数80万台というと、芸能人クラスなのですが……何者なんだミツル。
フォロワー数がそのまま強さになる異世界転生漫画 リターンズ
同作が1万5000以上リツイートされる好評を受けて、横山先生は続編「フォロワー数がそのまま強さになる異世界転生漫画 リターンズ」も公開。新たな仲間、ブロガーの「かあちゅう」や「イケタニハヤト」らとともに戦う、ミツルの冒険を描いています。登場人物の名前に既視感があるのは、きっと気のせい。
激戦をくり広げる一行ですが、見た目は素朴ながら豪腕を誇る魔物に大苦戦。ミツルの魔法「マキコミリプ」も通用せず、絶体絶命のピンチにさらされてしまいます。
ところが突然、それまで目立たずにいたおじさんが、渾身の一撃で魔物を撃破。正体を隠していた彼が、バーチャルユーチューバーとしての真価を発揮したのです。その戦闘力(チャンネル登録数)、実に179万。ネットの新たな潮流が、世界を変える……っ!
「ピンチの主人公が潜在能力に覚醒」「地味な人物が実は最強」など、ツボを押さえた展開がたまらないこの連作。ネットの流行が如実に表れている点も興味深いですね。少年漫画やラノベ的な世界観にネット文化を盛り込むのは、横山先生が得意な作風の1つ。次はどんなアイデアが飛び出すのか、次回をお楽しみに。
作者:横山了一
1978年生まれ、北海道釧路市出身。2002年に『熱血番長鬼瓦椿』(週刊ヤングマガジン)連載デビュー。妻は漫画家の加藤マユミ(@katomayumi)。妻子との日常を描くエッセイ漫画『きょうの横山家』や、オタクが戦国時代で活躍する『戦国コミケ』など、幅広い作風で知られる。
Twitter:@yokoyama_bancho
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