サンタ・マリア・イン・コスメディン教会(イタリア)にある「真実の口」といえば、映画「ローマの休日」に登場することで有名。同作で「ウソつきが手を入れると、手が抜けなくなる」などの伝承があることを知った人も多いのでは?
しかし、本来の用途は全く異なり、「かつてはマンホールのふたとして使われていた」といわれることがあります。これは本当なのでしょうか。
「ローマの休日で知られる『真実の口』は、古代のマンホールのふた」って本当?
イタリアの企業・DPS-Promaticによると、真実の口は石材で作られた円盤状の彫刻で、直径は175センチ、重量は1200キロに及びます。中央にはひげの生えた男性の顔があしらわれ、目、鼻、口部分には穴が空けられています。
真実の口は現在、ローマの観光名所となっていますが、一説には「もともとはマンホールのふたで、顔の穴から雨水などを排水していた」といわれています。
DPS-Promaticも、これに近い「排水設備のふた」説が「最もポピュラーな理論」だとしているのですが、その信ぴょう性については「もしも路上にあり、流れる水が多かったら、水が通過する穴(目、鼻、口部分)に侵食の跡が明白に残るだろう」と否定的です。
つまり、現代のわれわれが路上で見掛けるマンホールと同じような使い方だとしたら、もっと状態が悪かっただろう、というわけです。
対して、最も信ぴょう性が高いとしているのは「屋根の一部に穴が空いている建物(※)に設けられた取水口のふた」説。「水の出入口に置かれるふた」という意味では「古代のマンホールのふた」説に似ていますが、設置場所がかなり特殊です。
このような不完全な屋根だと雨水が多少入ってくるはずですが、路上よりは水量が少なくなるため、真実の口があまり侵食されなかったのではないか、と推測しているようです。
※ 変わった形状の屋根ですが、確かにローマの神殿「パンテオン」の屋根は、中央に穴が空いています。
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