漫画家が実際に使っているテクニックを伝授するコーナー「漫画家直伝イラストテクニック」。第四回は漫画『折れた竜骨(原作:米澤 穂信)』や『アルマディアノス英雄伝(原作:高見粱川)』を連載中の漫画家、佐藤夕子(@makaidaibouken4)先生に、“岩”の描き方を教えていただきます。
- 漫画家直伝イラストテクニック(1):第一回:誰でも描けるリアル背景、「山」の描き方
- 漫画家直伝イラストテクニック(2):第二回:誰でも描けるリアル背景、群生する「葉(笹)」の描き方
- 漫画家直伝イラストテクニック(3):第三回:誰でも描けるリアル背景、「爆発エフェクト」の描き方
第四回:「岩」の描き方
第四回は歴史モノやバトル漫画などでよく目にする“岩”“地面”がテーマです。岩肌のゴツゴツ感や、重厚感が出せるかどうかがポイントになってきます。
STEP1:鉛筆を遊ばせながら目安を入れる
まずは紙、鉛筆、ペン(ボールペンや漫画用ペンなど)を用意し、鉛筆でくしゃくしゃっと適当な大きさの目安を描いていきます。目安とは岩の形やくぼみを作るためのガイドラインで、今回は円を描くように鉛筆を遊ばせると良いでしょう。一方向だけではなく、八の字を書いてみたりいろいろな方向に線を伸ばしてみるのがポイントです。
STEP2:線と線の間にペン入れ
次に目安の線をベースにペン入れをしていきます。ここでは岩のデコボコや陰影、光源を意識しながら、目安の線を参考に線を重ねていきます。岩の流れは一方向になっているもの、分散しているものなどさまざまな形状がありますが、今回は分散させたものになります。また輪郭については描きすぎるとリアリティーに欠けてしまうので、ほどほどにしておきましょう。またアウトラインは直線で書くよりもガタガタ気味にするのがオススメです。
STEP3:グラデーションを付ける
ある程度線が入ったら、いったん紙を離してバランスを見ます。そして、線の強弱や岩の流れや陰影を表現していきます。このとき、線を重ねるテクニック「カケアミ」でグラデーションをかけるのですが、光が当たっている部分はあまり描きこみすぎないようにしましょう。
STEP4:完成
最後に目安を消しゴムで消せば完成です!
佐藤先生によると、「目安の線が残っていても、必要なもの以外は無理に全部ペン入れをしなくても大丈夫」とのこと。またこのテクニックを使用すると「地面」も描けるというのでその描き方も教えてもらいました。
おまけ:「地面」の描き方
STEP1:鉛筆で目安を描く
今回はおまけとして「地面の描き方」も紹介します。まずは直線を等間隔に描き、それに対して平行に線を重ね、平行四辺形がいくつかできるようにします。
STEP2:ペン入れ
次に、ペンを使って目安を元に影を入れていきます。岩のときと同様にアウトラインは直線で入れず、多少ガタガタさせた方がリアルです。
STEP3:草などを描き足して完成
いくつか影が描けたら、地面の割れ目から草が生えているように線を描き足して、バランスを整えたらほぼ完成。最後に目安の線を消しゴムで消せば仕上がりです。
編集部でも描いてみた
プロの漫画家である佐藤先生のテクニックは素人にも活用できるのか――。今回も編集部員が実際に“岩”を描いてみました。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.