進化の過程で残された「エラー」を修正した、完璧なヒトの体とはどんなものか――英国の解剖学者が自身が考えた答えを披露しました。
完璧な人体を作成したのは、英バーミンガム大学のアリス・ロバーツ教授。「人体はだいたいの場合うまく機能しているが、個々の要素の設計には多くの制約がある」という見解を持つロバーツ教授に、英国科学博物館が完璧な人体を見せてほしいと挑戦しました。
教授が素材にしたのは44歳の自分自身。自分の体をスキャンした3Dデータをもとに完璧な人体を作っていきます。それを形にした像を、同博物館で披露しました。耳の先はとがっており、足は上部ががっしりして下は細く、そして一番目を引くのはカンガルーのようにお腹から赤ちゃんが顔を出しているところ。
教授が人体の変えたい部分についてTwitterで意見を募ったところ、多かったのは「出産」だったとのこと。人間の赤ちゃんは頭が大きいため、お産が大変になることもあります。そこで採用したのが、有袋類のように未成熟な段階で赤ちゃんを生んで、おなかの袋で育てるスタイル。「すごくいいアイデアだと思うけど、見た目がどうなるかちょっと心配」と教授が言う通り、なかなか強烈な見た目になっています。
他にも目は盲点のないタコの目の構造を採用し、視野が大きくなるように眼球を少し大きく。耳は音がよく聞こえるように猫の耳のような形にしています。チンパンジーのようながっしりした腰、走るのに適したダチョウのような足を取り入れ、肌は周囲の環境によって色や形を変える頭足類にならい、日差しの強さに合わせて色が変わるとしています。
また体内の構造についても、食べ物が気管に入ってむせることのないように気道は完全に分け、肺は双方向に空気を出入りさせるのではなく、鳥のように気のうを設けて空気の流れを一方向にするといった構造を取り入れています。
この像は英国科学博物館の「Who Am I?」ギャラリーで展示されています。
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