梅雨などの湿度が高い時期、ふと畳を見てみたら、ふわふわとしたカビが生えていた……。そんな経験はありませんか? 畳はイ草という天然素材でできているため、その性質上どうしてもカビが生えやすく、少し換気や掃除を怠っただけで一面にカビが生えてしまうことも珍しくありません。
しかし、畳のカビは自分でも簡単に掃除できますし、少し気を付けるだけで生えにくくすることができます。今回は畳にカビが生える原因と、生えてしまったカビの掃除方法、予防方法をご紹介します。
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畳にカビが生える原因とは?
原因その1:換気が不十分
カビは以下の条件がそろうと繁殖しやすくなるといわれています。
- 気温20〜30度
- 湿度70〜80%
- ホコリ、汚れなどの栄養分
梅雨の時期は、特に気温と湿度が高い状態が続きやすく、畳に付着したホコリや汚れがカビ菌の栄養分となることで、カビが繁殖しやすい環境になってしまいます。つまり、風通しが悪く掃除を怠っている部屋の畳は、絶好の繁殖スポットというわけです。
原因その2:イ草が湿気を吸収する
畳表(畳の表面)に使われる天然のイ草は、空気を吸収して放出する性質を持っています。そのため、天然の畳が敷かれている部屋は、イ草のおかげである程度の除湿効果が期待できます。しかし、あまりにも湿度の高い状態が続くと、湿気がたまりにたまったイ草に、カビが発生しやすくなってしまいます。
なお、この湿度を吸収する効果は、新鮮なイ草ほど強くはたらきます。そのため、新しい畳や表替えをしたばかりの畳の方がカビが生えやすく、イ草の潰れてしまった古い畳はカビが繁殖しづらいです。
原因その3:畳の上に布団が敷いてある
畳に直に布団を敷いていると、カビが生えやすくなる傾向があります。一番の原因は、人間が寝ている間にかいてしまう、いわゆる寝汗。
一説には「寝汗は一晩にコップ1杯分(200ミリリットル)かく」といわれていますが、布団を経由して、畳がその水分を吸収することで、カビが生えやすい状態になってしまうのです。特に、敷きっぱなしのいわゆる万年床の状態にしている場合は「久しぶりに布団を動かしたら、下の畳にカビがびっしり!」という事態も考えられます。
なお、フローリングの上に布団を敷いた場合は、フローリングには吸湿性がないので、床にカビが生えるケースは少ないです。しかし、行き場を失った寝汗が布団にたまってしまうため、布団にカビが生える可能性が高くなります。
畳のカビを掃除する方法
畳に生えたカビは、よほどひどい状態でない限り自分で掃除できますが、「掃除してもとれない」「黒カビが畳一面に広がっている」といった場合は、畳の交換や表替えを検討しましょう。
ここからは畳を掃除する際の注意点と、具体的な掃除方法をご説明します。
畳を掃除する際の注意点
畳にカビを見つけたら、とにかく早く掃除をしてしまいたいですよね。しかし、掃除方法を間違うと、逆にカビが広がってしまったり、部屋中にカビ菌をまき散らしたりしてしまうことも。つい慌ててしまう場面ですが、以下のようなやり方は避けましょう。
- 水拭きしない
- 乾拭きしない
- 掃除機をかける、たたくのもNG
水拭きは畳に水分を与えてしまうことになり、カビ菌の大好きな高湿度の状態になってしまうため、逆効果です。
では、乾拭きはというと、畳のカビ掃除ではこれもNGです。畳の目の隙間に菌が入ってしまい、かえってカビを除去しづらくなります。
カビを掃除機で吸い取ると、排気口から細かいカビの菌が排出され、部屋中にまき散らされてしまいます。同様に、取りあえずカビを除去しようと、畳をたたいたり払ったりするのもNGです。
掃除に必要なもの
- 消毒用アルコール(エタノールの濃度が70〜80%のもの。または無水エタノールと精製水を7:3で混ぜたもの)
- スプレーボトル
- 重曹(黒カビが生えている場合のみ)
- 使い古しの歯ブラシ
- 雑巾
- ゴム手袋
- マスク
畳のカビ掃除には、エタノールが含まれた消毒用アルコールがおすすめです。ドラッグストアなどで購入でき、スプレーボトルに入れて使用すると便利です。
エタノールは、傷口の消毒や除菌などに使われる揮発性の高い液体。寝そべったり素足で歩いたりする畳に使っても安全なうえに、畳をほとんど傷めません。
もしも畳に黒カビが生えてしまっている場合は、消毒用アルコールでは除去が難しいので、カビを中和できる重曹を使用します。
殺菌性が非常に高いエタノールに直接触れると手が荒れる恐れがあるため、保護用のゴム手袋は必ず用意しましょう。また、掃除中に浮遊したカビ菌を吸い込まないためにマスクも必需品です。
なお、浴室やキッチン用のアルカリ性カビ除去剤は、畳が変色してしまう恐れがあります。カビに対しての効果は絶大ですが、畳に使うのはおすすめできません。
畳の掃除方法
(1)部屋の換気をする
窓を開ける、換気扇を回すなどして、部屋の風通しをよくします。こうすることで、室内に浮遊しているカビの胞子を、ある程度室外に追い出すことができます。
(2)消毒用アルコールをスプレーし、20分程放置する
カビ全体に消毒用アルコールを吹き付けたら、まずはカビと馴染ませるために時間を置きます。カビの根までアルコールの殺菌作用が働き、カビを除去しやすくなります。
(3)歯ブラシで畳の目のカビをかき出す
使い古しの歯ブラシで、畳の目に入り込んだカビをかき出します。このとき、あまり力を入れてほじくりだすようにしてしまうと畳を傷めてしまうので、優しくこするようにしてください。
(4)カビが取れるまで(2)と(3)の作業を繰り返す
(5)黒カビには重曹をふりかける
黒カビの発生によって畳が黒ずんでいる場合は、重曹を粉のままふりかけ、その上から消毒用アルコールを吹き付けて歯ブラシで優しくこすります。
(6)再度アルコールスプレーをして乾拭きする
カビを除去し終えたら、カビの生えていた箇所に消毒用アルコールを吹き付けて、雑巾で乾拭きします。このとき畳の目に沿って拭くと、目の奥にまで消毒作用が行きわたりやすくなります。
(7)乾燥させる
部屋の窓や換気扇はつけたままにしておき、畳をしっかり乾燥させます。
畳のカビを予防する方法
「せっかくカビ掃除をしたのに、またすぐに畳にカビが生えてしまった」ということはよくあります。具体的な予防方法についてご説明します。
風通しを良くして湿度を下げる
カビは70%以上の高い湿度を好むので、畳のある部屋には湿気をこもらせないようにしましょう。雨が降っていない日は窓を開け、空気の入れ替えを行います。あわせて、換気扇やサーキュレーターを利用するのも手。
また、窓を開けた状態で扇風機やエアコンの送風機能を使うのも非常に効果的です。特に、マンションやアパートなどの集合住宅は空気がこもりやすいので、小まめに換気を行うようにしてください。
小まめに掃除をする
基本的なことですが、ホコリや汚れはカビ菌の栄養分になるので、小まめに畳を掃除することは、非常に効果的なカビ対策になります。定期的に掃除機をかけて汚れをためないようにしましょう。
寝室なら布団のお手入れを小まめに
布団が吸収した寝汗によってカビが繁殖してしまうケースが多いため、小まめに天日干しをしたり布団乾燥機を使用したりして、布団の湿気を逃がすようにしましょう。
「1時間ほど干したら、裏返しにしてもう1時間外の風に当てる」というやり方だと、布団の奥の水分まで飛ばせるのでおすすめです。
また、畳に直に布団を敷かず、畳と布団の間にすのこを敷いて空間を作ることで、カビの発生を大幅に抑えることができます。このとき、すのこと布団の間に、市販の防湿シートを敷くとさらに効果的です。
なお、布団を敷きっぱなしにするのは絶対にNGです。敷布団と畳の間の湿気が抜けず、カビにとってはパラダイスともいえる環境になってしまいます。
おすすめなのが布団用のコンパクトな物干し。朝起きたらさっと布団を掛けるだけで、布団自体のカビを防ぎつつ、畳も外気にさらして乾燥させることができます。
カーペットを敷く場合は防湿シートを
畳の上にカーペットを敷くと、畳にフタをしたような状態になり、湿気がこもりやすくなってしまいます。畳のカビ予防のためには、できれば敷物は避けてほしいところ。
ですが、部屋の見栄えなどのために、どうしても敷きたいという場合もありますよね。そんなときは、カーペットの下に市販の防湿シートを敷いてください。シートが湿気を吸収することで畳が吸い込む水分が減るので、カビの繁殖を抑えることができます。
また、カビとともに繁殖しやすいのがダニですが、防虫効果もある防湿シートを使えば、ダニ対策まで一緒に行えます。
お酢で拭く
お酢には殺菌作用があり、カビを予防する効果があります。
掃除機でホコリを取ったあと、バケツ1杯の水に大さじ2杯の酢を入れ、雑巾に含ませて固く絞ります。その雑巾で畳全体を目に沿って拭くだけで、非常に効果の高いカビ対策となります。
また、酢には消臭効果もあるため、カビは見当たらないけど、なんだかカビ臭いといった場合にもおすすめの方法です。
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