メデューサの散髪をお手伝い、機械が油のラテを注文 「ちょっとだけ変な世界でアルバイト」する漫画が働く元気と夢をくれる
いつかこんな不思議でやさしい世界に行ってみたいな。
Twitterで公開された「ちょっとだけ変な世界でアルバイトする漫画」の不思議な世界観やちょっと優しい気持ちになれるストーリーが話題です。
「『小動物運搬』の一日バイトで来た者なんですけど…」とお店のドアを開ける女の子。お店の人は「今日は1日よろしく」と挨拶をしつつ、とりあえず着替えるように女の子に伝えます。小動物運搬って、何を運ぶんだろ、うさぎ? ハムスター? と思いながら、着替えていると、思ったよりも手袋が分厚いことに気が付きます。そして、早速、仕事が始まります。
そこには、髪の毛先がヘビになっているお客さんが座っており、「では、そろそろカットはじめますね〜」とお店の人が先っぽのヘビの部分を切っていきます。切ったヘビをペットショップに売るため、水槽に1匹ずつ入れ、最後に裏口まで運ぶのがバイトのお仕事でした。「ていねいに扱って ホラ フタはやくしめないと逃げるよ!!!」とお店の人が女の子に言います。
次々切られるヘビ。水槽に入れる女の子。騒ぐヘビたち。そして、いつの間にか手袋をしていなかった女の子は、1匹のヘビにガブッと噛まれてしまいます。「絶対はずさないでね」と念押しされたのは、噛まれるからだったのか……。
女の子はバイトの後、階段に座り、全然うまくいかなかったことや、噛まれた手が痛いこともあり、落ち込んでいます。すると、誰かが声をかけてきました。
声がする方を見ると、先ほどの毛先がヘビのお客さんが女の子を噛んだヘビを持って立っていました。「さっきは本当にごめんなさい…」「たっぷり叱っておいたからもう絶対噛まないわ あなたにあげる… 売ってもいいし、飼ってもいいわ」と、ヘビをケースごと女の子に手渡します。
女の子は家に持ち帰り、ヘビに向かって「痛かったんだからね、売っぱらってやるから〜…!!!」と話しかけます。でも本当にもう噛まないのか気になったので、試しにヘビを手に乗せてみることにします。するとヘビはケガをした左手をぺろぺろ。女の子はヘビをなでると、やっぱり飼うことに決めたのでした。最初はちょっぴり不気味だったのに、最後は子犬のようにかわいく思えてくるので不思議です。
同作は続編も公開中。今度は、短期でカフェのバイトをはじめた女の子の日々が描かれています。
カフェで楽しく働いていたある日、なんと機械のお客さんがたくさんやってきます。「こんなに一度に来たことないな…でも、がんばってさばくぞ」と女の子はやる気十分です。
「一人で大丈夫〜? 」と店長が声をかけてくれた手前、女の子はいいところを見せようと張り切ります。機械のお客さんたちは口々に「ホットキャラメルラテ」「まっちゃラテ クリームのせて」「アイスティー3つ」など複雑なオーダーをしていきますが、女の子はてきぱきとレジを打ち、番号札を渡し、飲み物作りに取り掛かります。
「コーヒーとか紅茶の部分を機械用の油に換えればいいんだよね うん、楽勝 楽勝!」と思いながら、注文の飲み物を作っていく女の子。
店長も「早いな〜!!」と感心します。カフェバイトに慣れてきて喜ぶ女の子でしたが、直後に機械のお客さんたちから「これ中身が違くな〜い?」「注文ちゃんと聞いてた?」とクレームが入ります。すると店長が「もしかして、油全部一緒のにしちゃった?」と女の子に訪ねます。
そう、実は油は一種類ではなく、ラテやモカなど、メニューに合わせてそれぞれ違う油種を配合しなければならなかったのでした。そのことを知らなかった女の子は「やらかした!」と気付いて謝ります。
「間違えたやつ、たくさん余っちゃった…これ、全部廃棄ですね。ホントにごめんなさい」と女の子が片付けようとすると、店長がそんなことないぞと言いながら、間違えて作ってしまった飲み物を飲み始めました。「店長、それ油… 油です!! やめて下さい!」と焦る女の子。
全部飲んだ店長は「トクシュな訓練をつめば、人間でもこのくらい飲めるようになるのだよ」と言い、「誰にでも失敗はある。キミがいてくれて助かるよ。明日からもめげずによろしく」と言ってくれます。女の子は「てんちょ〜!!!! 」とうるうるしてしまいます。
女の子は「明日こそがんばるぞ」と前向きに一日を終えられました。店長ナイス! ちなみに女の子が帰った後に店長は「素直な良い子だ…」と関心しつつも、腕をぱかっと取り外し、体内から先ほど摂取した油をバケツに排出。機械のお客さんがやってくるカフェ……と思っていたところ、なんと店長も機械だった。
そしてバイト最終日には機械だという正体を明かし、女の子をびっくりさせるちょっとお茶目な店長さんなのでした。
読者からは、バイトの舞台は過去なのか未来なのか、異世界なのか。独特のノスタルジックで不思議な世界に「不思議と気になる世界観」「絵のタッチやテンポがどこか懐かしく好き」「もう可愛いとしか言いようがない」などのリプライが集まっています。
同作の作者は、講談社「マガポケベース」で『ヤマ子とおーかみ』を連載中の山北東(@north_mountain9)さん。以前にも女の子とロボットの交流を描いたTwitter漫画が話題を呼びました(関連記事)。
山北東さんの漫画では人間と機械や妖怪が共生しているのが当たり前で、優しい世界なのが魅力的。この世界では、むしろ女の子の存在の方が珍しいのかもしれませんね。女の子は、また、ちょっとだけ変な世界でアルバイトをすることがあるのでしょうか。
画像提供:山北東(@north_mountain9)さん
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