「はだかの王様」といえば、ありもしない「バカには見えない服」を、見栄を張った愚かな王様が「見える」と言い張り、服を着た体で歩いて恥をかく童話。しかし、その服が本当に存在するものだったら? そんな「もしも」を描いたパロディー漫画を、漫画家の小雨大豆(@kosamedaizu)さんがTwitterで公開し好評を博しています。
立派ないでたちで国民の前に立つ王様は、いつも以上の歓声を浴びて上機嫌。「君から買った服のおかげかなぁ?」と商人に聞くと、答えはなんと「もちろんですよ。それはバカには見えない服ですから」。とても賢い王様は、普通の服だと思って着ていたのでした。
不幸なことに、この国の民は服が見えない程度のバカばかり。王様の裸を目にして、「王様ヤバイ」とざわつくばかりです。試しに商人がお付きのメイドに王様の乳首の色を聞くと、「ピンクです」と正直に返答。悲しくも国民のバカさ加減が露呈してしまいました。というか、よくこれまでやっていけてたなこの国。
王様は商人からもらった、「天才には見えないタオル」で前を隠して急場をしのぐことに。「なぜみんな自分が全裸に見えると指摘してくれないのか」悲しんでいると、商人に「それはまわりのみなさんがIQ低いか、王様ならやりかねないと思っているか」と追い打ちをかけられてしまいます。
ショックを受けた王様は「言ってくれないのは僕の責任でもある」と認め、「権力の愚かさ、盲目さを、この裸の王様を見て語り継いでほしい……」とぽつり。賢い王様らしい名言です。
しかし、せっかくいいことを言ったのに、近衛兵や執事の反応はというと、「王様マジパネエっす」「マジで爺のここにピピリましたぞ」と、語彙に乏しいコメントばかり。これでは何も語り継がれそうにありません。
そんなとき、子どもが「なんで王様はそのようなビロードの服をお召しになっているのに嘲笑されているのですか?」と冷静に指摘。原作の「王様は裸だ!」と真逆です。かくして、賢いと分かった子どもには十分な教育環境が与えられ、その後も同様に優秀な人材がたくさん見つかりましたとさ。なんだかんだで、「めでたしめでたし」で終わったっ!
王様と商人の軽妙なかけあいが楽しいこの漫画には、「王様はまわりに恵まれている」「結果的に有能を集められたので王様は有能」といった感想が寄せられました。商人は原作と違って詐欺をするわけでなく、不思議な服を正統な取引で売っただけで、何が目的だったのかは分かりません。もしかして、国の現状を王様に気付かせようとする救い主だった?
(沓澤真二)
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服のサイズは基本的に合わない。