ノルウェー委員会が、Nintendo Switchなどのeショップの「予約キャンセル不可」が不当であると訴え続ける。欧州レベルまで話を広げると警告
ノルウェーの当局は以前より商品の予約に関する消費者の権利をめぐり問題提起していた。
ノルウェー消費者委員会は、7月6日「予約キャンセル」に関する声明を、プレスリリースを通じて出し、各ゲーム配信プラットフォームの運営元を批判した。ノルウェーの当局は以前より商品の予約に関する消費者の権利をめぐり問題提起していたが(関連記事)、ふたたびその姿勢を明らかにした形だ。
当局が批判対象としてあげたのは4社だ。最初にあげられたのは、ValveにElectronic Arts、そしてソニー・インタラクティブエンタテインメント。Steam、Origin、PlayStationといったプラットフォームを運営する3社は、一部タイトルを除き基本的には予約したタイトルをキャンセルできるポリシーを掲げているにも関わらず、その権利を明示しておらず、ノルウェーの法律の著作権にまつわる条文(Angrerettloven §22 bokstav)に違反していると指摘している。当局は「手続きを踏めば返金(キャンセル取り消し)措置を受けられる」というポリシーについても異論を唱えている。いずれの社も、基本的には予約キャンセルを受け付けているが、キャンセルできることをはっきりと記載し、自動的に返金措置を受けられるサービスを提供すべきだということだろう。この基準をクリアしていたのは、マイクロソフトのみであったようだ。
そしてノルウェー当局が、特に強く批判している最後の一社は、任天堂だ。任天堂はニンテンドー3DSやNintendo Switchで展開中の配信プラットフォームのニンテンドーeショップにて、予約販売サービスを提供している。このサービスに合わせて発売前にゲームをダウンロードできる、あらかじめダウンロードという仕組みを提供しており、ダウンロード版に限っては、あらかじめデータをダウンロードしておくことで、タイトルの販売が解禁されてすぐ遊べるような環境が用意されている。一方で、いずれのケースにおいても購入したタイトルの返金は受け付けていないとも公式サイトに明記している。
このキャンセル不可のスタンスについて、以前からノルウェー当局は「予約購入においてはお金を払いながらも、サービスの提供はなく、キャンセルにも対応しておらず、当日にならなければプレイできない」という点で任天堂を批判し、ノルウェーの法律およびヨーロッパの消費者権利指令に違反しているとも訴えている。ニンテンドーeショップでの予約の取り消しが可能になることを求めていた。一方で4月に入り、任天堂は書面にてこの批判を退ける。いかなる法律も違反していないとしており、予約購入したゲームは購入した時点でダウンロードが始まっており、これによってサービス提供をしていると主張。またダウンロードしたゲームをキャンセルするのは、困難であるとの見方を示した。
以前まではノルウェー当局は、消費者にやさしい任天堂ならば何らかの考慮をしてくれるだろうと楽観的なコメントを出したものの、任天堂側から反論がきたことにより態度を硬化。ヨーロッパにおける任天堂の拠点のひとつであるドイツの当局に対して、賛同を求める働きかけをすると表明。ドイツ当局の賛同を得た上で任天堂が対応しなければ、ニンテンドー・オブ・ヨーロッパを相手に何らかの行動を起こすとも警告している。ノルウェー消費者委員会は、ビデオゲームの予約購入に関するトラブルの例を幾度も確認しており、ゲームプラットフォームの予約にまつわる扱いを危惧してきた。各プラットフォームに警告をしながらも、特に任天堂の予約キャンセル不可の仕様については、改善されるまで抗議すると表明している。
予約購入およびあらかじめダウンロードは、Wii U時代からのダウンロードゲームにおける特典のひとつだった。任天堂は、いつの間に通信とあわせて、あらかじめダウンロードを全面に押し出してきており、Nintendo Switchにおいてもこの制度は定着している。発売日(もしくは前日夜)になれば、長いダウンロード時間を待たず、すぐにゲームをプレイできる。そんなあらかじめダウンロードが存在するがゆえに、ダウンロード版を購入するユーザーもいるだろう。ノルウェー当局は、このあらかじめダウンロードの仕様を批判し、逆に任天堂はあらかじめダウンロードを盾として批判を退けている。
もし任天堂が抗議に対応するならば、どういうケースが考えられるだろうか。「予約購入したタイトルをキャンセルすれば、ダウンロードされた状態でもデータが消えて返金される」という仕様が導入されるならば、消費者にとって単純にオプションが増えることになる。一方で、任天堂の主張するようにそれが困難ならば、あらかじめダウンロードのシステム自体を根本的に見直さなければならないだろう。強い抗議の意思を見せるノルウェーからの問いかけに、任天堂はどのような対応をとるのだろうか。
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