ここ最近SNSを中心に、学校へのエアコン設置に関する議論が盛り上がりを見せています。「昔はエアコンが無くても倒れる子どもはいなかったのだから必要ない」という声がある一方、「昔よりも気温が上がっているから子どもを熱中症から守るために必要である」という意見も。
Twitterでは昔の夏と今の夏の気温を比較するツイートなどが話題になりましたが、「比較対象としている昔の夏が冷夏の年のものなのでは」という声が上がるなどし、あまりはっきりしない結果に。果たして、「熱中症は甘え」なのでしょうか。
実際に、日本の夏の気温は昔よりも上がっているのか、tenki.jpなどを運営する日本気象協会に話を聞きました。
―― 実際に日本の気温は昔に比べて上がっているのでしょうか。
日本気象協会:はい。気象庁が2018年6月26日に公開した「ヒートアイランド監視報告2017」によると、東京ではこの100年間の間に年間での平均気温が3.2度上がっています。特に上がっているのが最低気温の4.4度。最高気温は1.7度上がっています。
―― いつ頃から気温が上がり始めたのでしょうか。
日本気象協会:高度成長期の1950年代後半から1970年代の間に特に上がりました。
―― 昔に比べて熱中症になるリスクは上がっていますか。
日本気象協会:上がっていると思います。
―― 気温の上昇について「エアコン設置家庭の増加による排熱が原因ではないか」という意見がありますがその影響は実際にありますか。
日本気象協会:「ヒートアイランド監視報告2017」では、気温上昇の理由について「人工排熱」も上げられています。しかし、家庭のエアコンによる影響よりも、工場などの産業活動、自動車の存在などの方が大きいと考えられます。
また、都市化によりコンクリートの建造物やアスファルトの地面が増えましたが、これらは温まりやすく冷めにくい特色を持つため夜になっても気温が落ちず、熱帯夜を引き起こす原因となっています。さらに、植物が減ったことにより、葉っぱが起こす「蒸散」(植物体内の水分が水蒸気になって外に発散すること)による気化熱も減りました。
これら、都市化による気温の上昇を「ヒートアイランド現象」と呼びます。
やはり昔に比べて平均気温が上がっているというのは、事実でした。特に気温が上がり始めたのが高度成長期ということで、特に現在60代以上の人の子どものころと現在では大きな差が生じているもよう。「熱中症は甘え」ではなかったようです。
今と昔では夏の暑さが違うことを認識し、しっかりと暑さ対策をしてください。
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