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「熱中症で死亡するのは脳のタンパク質が変質するから」ツイート拡散 本当か医師に聞いた

熱中症予防策についても聞きました。

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 熱中症で死ぬ理由は「脳のタンパク質が熱で変質して戻らなくなるから」という投稿がTwitterで拡散していました。注目を集める一方、正しくないという指摘も。本当なのか、医師に聞きました。

熱中症
暑い日が続きます。熱中症に注意

 オンライン健康相談「first call」の総合診療医、田中公孝先生に、熱中症で死亡する理由についてだけでなく、熱中症はどういう症状なのか、どのような防止策をとればいいのかについても質問しました。


―― 「熱中症で死ぬ理由は脳のタンパク質が熱で変質して戻らなくなる」は事実でしょうか?

田中先生 脳のタンパク質が熱で変質するというメカニズムではなく、脱水で循環障害(血液やリンパの循環が阻害され、臓器や組織に障害が生じること)に陥り、脳や腎臓など臓器への血流が減ること、暑さで体温調節中枢が障害されることなどのメカニズムで体にダメージが与えられます。

 さらに、筋肉をつくる骨格筋細胞が融解や壊死を起こす横紋筋融解や、体のナトリウム不足による筋痙攣(けいれん)などが重なり、多臓器不全、ショックなどを起こし、最悪の場合、熱中症で亡くなってしまうという流れになります。なので、事実ではないと思います。

―― 熱中症はどういう状態で起こるのでしょうか

田中先生 主に、暑い環境に長くいること、さらには水分摂取と休憩の不十分が相まって熱中症を発症します。

―― 熱中症の症状はどういうものですか

田中先生 軽い熱中症は、こむら返りや筋肉痛程度ですが、中等症の熱中症になると頭痛や嘔吐(おうと)、食欲不振、倦怠(けんたい)感が見られます。実際に今シーズンも、この状態の方が外来にいらっしゃいました。

 重症の熱中症になると、血液検査で腎臓や筋肉の数値に異常をきたし、動けない状態にもなることから、入院加療が必要となります。私自身も診療で何人もの大変な熱中症患者さんに遭遇してきたので、「まだ大丈夫」と安易に判断せず、早め早めの予防を心がけてほしいと思います。

―― 熱中症を防ぐにはどうしたらよいでしょうか

田中先生 塩分の入った水分を大量に摂取すること(ポカリスエットやアクエリアスはもちろんですが、熱中症かなと思ったらOS-1も検討を! 水だけは不十分です!)、炎天下での不要な外出や長時間労働を控えること、定期的に涼しい環境で休むことなどを意識してください。また、体が熱い場合は、首や脇の下など太い血管が通っている箇所に氷を入れて体を冷やしてください。

 経験上、症状がなくても外の作業中に全くトイレに行きたくならない場合は要注意です。というのも、そんなときは、体に水分が足りないため尿が出ない状況であり、熱中症に極めてなりやすい状態と言えます。もし炎天下でトイレに行ってないな……と思ったら、まずは塩分の入った水分を摂るという行動を意識してもらえればと思います。

 特に熱中症で倒れた方が口をそろえて言うのは、「水分は摂っていた」ということです。でも、よくよく話を聞いてみると、炎天下にずっといたにもかかわらず、1日で1リットルちょっとしか飲んでおらず、暑さや汗の量を考えると、もっと飲まなくてはいけなかったというケースが非常に多いです。

 例年、屋外の仕事関係や、スポーツ・レジャーをされていた方が熱中症で倒れていますので、今年の猛暑は本当に注意してもらいたいと思います。


 消防庁によると、今年(2018年)7月16日〜22日に熱中症で搬送された人は2万2647人(速報値)。前年同時期の7196人のおよそ3倍となっています。気象庁の発表では、高温は8月上旬まで続く見込み(関連記事)。くれぐれも熱中症にはご注意を。

7月16日〜22日に熱中症で搬送された人数(消防庁Webサイトから)
気象庁の予報

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