好きな男性をどうしても「推し」のアイドルのように見てしまう――そのせいで、主人公の女性がなかなか交際にまでは至れないラブコメ漫画「ファンファン・ファンファーレ」が、もどかしくてたまりません。脈はあるんですけどねえ……。
OLの咲野は、営業部の若手エース・早見にご執心。身長や血液型から好きなブランド、流れてくるうわさ話まで、彼に関する情報をことごとく網羅しており、先輩の紅子からは「早見オタク」とまで呼ばれています。
しかし、その好意はあくまでも「ファン目線」のもの。「早見にはスラッとした家庭的でちょっぴり天然な美女とステキな家庭を築いてほしい。そこに自分は存在しなくていい」という、いささか屈折した思いを抱いており、彼と交際したいといった欲は一切ないと、紅子に熱弁を振るいます。
実はこの会話、全て早見本人が陰で聞いていました。彼も咲野のことを好きだと知った紅子が、同期のよしみで咲野の実態を教えてあげようと、取り計らっていたのです。両思いではあるけれど、彼女に恋人として付き合う気はない――複雑な状況を打ち破るため、早見は咲野へ直接アプローチすることにしました。
そして数日後、早見は咲野を食事に誘ったのですが、彼女は「ご本尊様の隣に並ぶだなんて恐れ多すぎて」と、即座に引いてしまいます。そして、思いを告げようとする早見を遮って「私はただの早見さんオタク。オタクは光の当たる場所に出ちゃダメなんです!」と答え、あくまでもファンとしての立ち位置に身を置こうとするのでした。
「あなたには天然な美女とステキな家庭を……」と言われた早見は、「勝手に俺の心を決めないでよ」と真剣に返答。咲野の手を取って自宅まで連れていきます。そして、自分の思いを知ってもらうには「普通の言葉じゃきっと届かないから」と見せた部屋は、壁も天井も咲野の写真に埋め尽くされていたのでした。こっちもかなりおかしかったーっ!
勢いで「俺は君のストーカーなんだ」とまで言ってしまい、嫌われるだろうと早見は大慌て。ところが咲野の反応は、「早見さんがストーカーすべき人はもっとほかにいるはず」「私じゃふさわしくないので今すぐ写真を捨ててください」という、はるか斜め上のものでした。ポリシーがブレないにもほどがある。
これには早見も、「俺は君の言葉で言えば君が推しだ! 君は自分の推しの写真を捨てられるのか!?」と反論。すると咲野も「捨てられないですよ何言ってんですか」と、むちゃくちゃな反応をします。好き同士、同じ土俵で謎の勝負が始まってしまった。
いつまでも「私なんか」と自虐的な咲野に少々いらだった早見は、「俺の好きな人を“なんか”って言わないで」と告白。それでも「お互いにお互いのファンだったんですね……?」と、思考のゆるがない咲野に、「それ、両思いって言うんじゃないかな」とダメ押しの一言を送るのでした。右往左往する思いが、やっとつながった……。
同作はやまだ亜麻(@ama_yamada)さんが、漫画家を育成する「ゲンロン ひらめき☆マンガ教室」の課題として描いたもの。サイト上ではネームも公開されており、完成稿では省略された小ネタも余すことなく確認することができます。漫画家の卵とは思えない完成度で、今後の活躍が楽しみですね。
(沓澤真二)
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