2018年8月10日から12日までの3日間、第94回を迎える同人誌即売会「コミックマーケット」が開催されます。平成最後の夏コミということで、日本を襲う異例の猛暑に負けない熱気でいつも以上の盛り上がりを見せそうです。
そんなコミケの会場となる東京ビッグサイトへ参加者たちを導く“交通の大動脈”りんかい線では、「始発ダッシュ」と呼ばれる危険行為が常態化しています。ネット上では名物のように扱われている状況にりんかい線を運営している東京臨海高速鉄道はどう思っているのか聞きました。
スタッフ増員、警備員も雇って大混雑に対応するりんかい線のコミケシフト
取材に応えてくれたのはりんかい線を運営している東京臨海高速鉄道の広報担当者。まずはコミケ期間中の体制について聞いてみました。
過去に取材した東京ビッグサイト近くにある喫茶店「カフェ・ベローチェ有明店」では、周辺の店舗から店長クラスが集結する“コミケシフト”が敷かれ、ネット上で大きな話題になりました。(関連記事)
1日15万から20万人ほどが東京ビッグサイトに集まるコミケ期間中、通常時に比べて利用客数が爆発的に増えるりんかい線ではどのような体制が敷かれているのでしょうか。
りんかい線の広報担当者に話を聞くと、混雑が最も集中する国際展示場駅だけでなく、ほかの路線からのハブ駅になる新木場駅などで「通常より多く(人員を配置)するよう、あらかじめ他駅を含めた配置計画を立ている」そうで、各駅でスタッフを増員してコミケシフトと呼べる体制をとっているそうです。
しかし、さすがにりんかい線のスタッフだけでは人手が足りないようで、警備会社から派遣された大勢の警備員も含めて、コミケ期間中のシフトを構築しているそうです。具体的にどれくらい増員しているのかについては、曜日や時間帯によって変わるために正確な回答はできないとのことでした。
臨時列車の運行と間隔調整で効率的なダイヤに
列車の運行本数や編成などについても聞いてみました。国際展示場駅では通常、平日5時44分が始発となり、その後は5時台に1本、6時台に6本、7時台に9本、8時台に11本、9時台にピークとなる12本が発着します。通常時であれば十分な運行本数ですが、コミケ期間中は東京ビッグサイトを訪れる人々で車内は超満員となり、通勤ラッシュ以上の混雑になることもしばしばあります。
そんな混雑を少しでも抑えるべく、コミケ期間中のりんかい線は運行本数を増やすことで対応しています。
例えばC94初日となる8月10日の下り線(新木場から大崎方面へ)では、早朝の7時ごろまでに4本、昼ごろに5本、夕方に2本の臨時列車を走らせます。さらにラッシュ時間帯は全体的に発着時刻を変更して、5分から10分ほどの間隔で運行するようダイヤを調整します。
車両編成は通常通りの10両編成のままで効率的に利用客を輸送できるように、全11本の増便と運行間隔の調整で爆増した需要に対応しています。臨時増発についてはりんかい線の公式サイトで事前に告知されており、3日分の時刻表がPDFで公開されています。
「皆様の優しい心づかいを」から5年、マナーは良くなってきた
りんかい線といえば、2013年に公式Twitterで「夏休み中で子供も多く乗車しているので、コミケで買った本を車内で読むのをやめてほしい」と注意を促したことがネット上で話題になりました。
広報担当者によると最近は「混雑した車内で本を大きく広げて読む」といったことは少なくなったそうです。このあたりのマナー意識はかなり改善されてきているようです。
ほかに駅アナウンスや電光掲示板などで、りんかい線として何か特別なことをしているのかについて聞くと、以前はさまざまな呼びかけをツイッターやポスターなどで行っていたそうですが、「コミックマーケットの参加者向けに特化したようなアナウンスが特定の見方に偏っている」と指摘を受けたため、現在はそういったことはしておらず、今後もそういった予定はないとのことでした。
その一方で、「コミケに参加しない利用客」からはどんな反応が寄せられているのかも気になりました。「列車がいつもより混むため、事情を知らないお客さまから“どうしてこんなに混むのか”とお叱りを受けた」ことがあるそうです。しかし、広報担当者によるとりんかい線の沿線には東京ビッグサイトのほかにも多数の催事場や商業施設があるため、このお叱りはコミケに限った話ではないとのことでした。
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