家族の代わりにアンドロイドと一緒に暮らす人を描いた漫画「家族のいない人がアンドロイドとすごす話」の結末に、家族の形を考えさせられます。
マイラと呼ばれた年老いた女性と青年は、森の中で親子のように暮らしていました。最近具合が良くないというのに勝手に外に出てしまったマイラを、青年が心配して迎えに来ます。
キッチンで料理をしていたマイラは、胸を押さえながら倒れてしまいます。ベッドに寝かされて「いやね……。自分の終わりを感じるのは」とつぶやくマイラ。
青年は「終わりだなんて言うなよ」とマイラを元気づけようとしますが、マイラは「モノはいつか壊れてしまうのよ」と言って青年を悲しませないように慰めます。マイラはだんだん言葉をちゃんと発することができなくなり、「ワたし あなタァノ 母親ミタイに でデッェ……ギッ キ……ギ……ギッ」――ついに機能停止してしまいました。
「ああ。まるで本物の『母親』みたいだったよ」と最期の言葉に答える青年。そして、今まで口にしたことのなかった「母さん」と、マイラを呼んだのでした。
家族というものを知らない青年が、家族がどういうものか知りたくて作ったアンドロイド――それがマイラでした。マイラを失ったことで青年は「やっぱり母なんていない方がいい」という結論に至ります。「だってもし本物の母親がいたならば、僕はきっとこの悲しみに耐えられないだろうから」
青年は動かなくなったマイラが横たわるベッドに顔を埋めて、自分が思っていた以上に大きな悲しみに耐えていたのでした。
彼にとってマイラは“母親型アンドロイド”ではなく、母親そのものだったのではないでしょうか。自分で作ったアンドロイドなので、気に入らなければ彼自身で強制終了することはできたのに、そうしないで、まるで人間であるかのように最期を看取ったのですから。
漫画の作者はTwitterユーザーのleo/レオ(@Leosako)さん。TwitterではオリジナルやSound Horizonなどの二次創作イラストと漫画を投稿しています。
画像提供:leo/レオ(@Leosako)さん
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