子どもが0歳児のうちから保育園に預けるというと、周囲から「幼いうちから親と離されてかわいそう」といった声が上がるものです。もっともな意見ではありますが、親にもそうせざるを得ない理由はあるでしょう。実際に「0歳児保育」をしている家庭の事情を語る漫画が、Twitterで反響を呼んでいます。
作者のゴリラパパ(@papagorillapapa)さんは、息子さんを生後6カ月から保育園に預けています。職場でそれを話したときは、やはり「その時期に母親がしっかり育児しないとダメでしょ」などと言われたそうです。自身と妻の両親からは理解を得て、息子を無事保育園に預けて1年余り。漫画ではそれまでの経緯を振り返っています。
作者は幼稚園と保育園の違いについて、簡単に説明。施設によって異なる場合もありますが、幼稚園は9時から14時ごろまで、保育園は7時台から18時ごろまで子どもを見てくれます。保育園は子どもを0歳から預かってくれる点もあり、働く女性にとって幼稚園よりも希望に添うといえます。
「それならばせめて0歳からでなく、1〜2歳から保育園に預けてもいいのでは?」といった意見もあるだろうとは作者も承知。しかし、そうしようにも「園のキャパシティ」が問題となって降りかかると説明しています。
多くの母親が産後の育休から1年ほどで職場へ復帰するため、1歳以上の入園枠は激戦区。仮にある年の1歳児クラスに余裕があったとしても、その翌年は昨年0歳児クラスだった子が1歳児クラスの枠を埋めるといったケースもあるわけです。
そんな争奪戦をした末に、希望する保育園への入園が叶わない場合もあるのならば、比較的希望が通りやすい0歳児のうちから預けるほうがいい――そう考える人が増えていると作者は指摘。自身の事情も同様で、周囲にもそう説明していますが、それでも「かわいそう」と言われてしまうのだそうです。
そこで、そもそも0歳のうちから保育園に預けられる子どもは「かわいそう」なのか? 作者はそう問いかけます。おいが幼稚園に入園したとき、彼が母親との別れを悲しんで泣いた一方、作者の息子は0歳のうちから保育園に慣れ、「すがり泣き」をしたことはほとんどないとのこと。その比較から、「幼稚園だろうと保育園だろうと、泣く子は泣くし泣かない子は泣かない、人それぞれ」と述べ、だから周囲の言う「子どもがかわいそう」は、勝手なイメージにすぎないとしています。
最後に、「0歳児のうちは母親が育児をするべき」という意見について、作者の妻の視点から反論。彼女は0歳児保育をした理由を「その『母親がやるべき育児』を円滑にこなすため」としています。
というのも息子の出生当時、作者の仕事が忙しく育児は妻が専任。育児に疲れ、彼女は「一日中子どもの相手をしながら生活するなんて無理!」と、いわゆる「社畜」だった夫と似た状況に陥っていたのでした。
仕事にしても育児にしても、休みなしで良いパフォーマンスが出せるわけはありません。「育児をちゃんとするために、育児をほかに頼る。それがあるから身体が空いたとき、息子へ健康的に愛情を注げられる」という妻の主張をまとめたうえで、作者は「少しでも親と子のことを理解してくれる人が増えたらうれしい」と、漫画を締めくくっています。
漫画には「他人の育児方針を否定するのは間違い」「小さいうちから保育園で大勢の愛情に触れられるのも幸せなのでは」といった賛意が。その一方で、「『子どもはすがり泣きをしないからかわいそうではない』という主張は、親の都合でしかないのでは」「抵抗力も体力もないうちに集団生活に入るのは、やはりかわいそう」といった指摘もあります。
「かわいそうなのは育児の形態や年齢に関係なく、親からの愛情が不足すること」だという意見も。子どもの性格も家庭環境も人それぞれなわけですし、それぞれの親が子どもへ愛情を注げるようベストを尽くすことが一番大事でしょう。
(沓澤真二)
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