niconicoのRPGアツマールで公開されたフリーゲーム、「ぶきあつめ 〜なんでも武器になるRPG〜」がシンプルなタイトルに反して内容が狂いに狂っているとさまざまなジャンルのゲームファンから注目を集めています。「なんでもといったな? でもこれは無理だろ」と思ってゲームを始めると、その“なんでも”ぶりに土下座して許しを請うことになります。看板に偽りなし……。
ストーリーは、武器屋の主人公が世界のどこかに存在するという最強の武器「ツヨスギテ=クサハエル・ソード」を探すたびに出るという大変シンプルなもの。しかし、ゲーム開始と同時に、このゲームの狂気が一端をのぞかせます。
スライムに囲まれてしまった主人公「うぇ子」は、「何でも武器にして戦う……それが真の武器商人だ!!」という亡き父の言葉を思い出し、取りあえず周辺にあるものを武器にして戦います。まずは道端に落ちているスコップの前で武器を拾うボタン押すと、武器にできました。さらに、近くにあった「ツボ」も武器にできるもよう。
なるほどこれは面白い、と思いさらに茂みにある謎の白骨死体を調べてみると、「しかばね」が“武器”として拾えました。んん……?
なかなか大胆だな……と思いそのへんに生えている木を調べてみると、木を引っこ抜いて武器として取得。いやいやいや。
予想以上に何でも拾えるので武器を拾うボタンを連打しながら歩いてみると、茂みに入った瞬間「草むら」を拾いました。いやそれ一個の物体じゃねえぞ!
さらに連打しながら歩いていると、「道」を取得。拾ったあとには雑草が生い茂っていました。逆じゃね!?
こうなってくると、普通はゲーム的に「この先に進めない」ことを示すために置かれる高い崖に目が行きます。いや、流石にこれは……まさかそんな……拾えちゃったよ。崖、拾えちゃったよ。崖を拾うってなんだ……?
あっけにとられながらスライムたちの方に進むと、画面左に池が見えます。こればっかりは……いくらなんでも……拾えた。「蓮の池」を“武器”として取得。さっきまで池があったはずの場所は、雑草が生い茂っています。このゲーム、想像の3万倍は狂ってやがる。
とりあえず武器は十分すぎるほど補充できたので、戦闘へ。ゲームシステム的にはいわゆる「ローグライク」や「不思議のダンジョン」系になっており、こちらが1歩動くと敵も1歩動くようになっています。
今回は、とりえあず「蓮の池」を使ってスライムを攻撃。巨大な池をそのまま振り回す「うぇ子」。死ぬほど画面が見づらいですが、「前方6マス同時攻撃というローグライクゲームにあるまじき攻撃範囲」+「池の氾濫で前方3マスに追加ダメージ」による超性能でスライムを圧倒していきます。「蓮の池」つええぇぇっ!
あっという間にスライムたちを圧倒した「うぇ子」は、無事街に帰還。ここから自由行動になるのですが、開始10秒でフリーダムだった世界はさらに無法地帯に。お手伝いや薬草の販売をしてくれる妹の「ぽん美」に向かって武器を振り回してみたところ、普通に命中。妹はアイテムをドロップしながら即死しました。ぽ、ぽん美ぃぃ! 「うぇ子は3の経験値を手に入れた!」じゃねぇぇ!!
さらに、家の中にある家具や、商品の販売に使う長机、キッチン、椅子、本棚など全て武器として持ち出し可能。それどころか、自宅やそこら辺にある民家そのものを“武器”として持っていける徹底ぶりです。
しかも家を持ち出すと、本来扉から入ると別のマップとしてつながっている家の中や住人が町マップの一部として表示されるようになるというこだわりぶり。この辺でだんだんと、「ああ、このゲームは全てが狂っているんだなぁ」と気付き始めてくるはずです。
さらに、町の住民は全員攻撃可能となっており、ご近所さんたちをぶっ飛ばしてレベル上げも可能。たまに貴重品もドロップするようなので、やらない手はありません。近所の家を武器としてもぎ取り、中の住人をさっきまで住んでいた家でぶっ飛ばしましょう。他人の家のタンスを勝手に荒らすドラクエの主人公が聖人に見えてきました。
狂気はこれだけにとどまらず、モンスターや町の住民はHPを減らすと“武器”として獲得。さらに、あらゆる武器を自宅で商品として並べられるため、住人を売ってお金に変換もできます。「うぇ子」に拾われてしまったが最後、もはやそこに人格は認められず、“武器”という記号として扱われるのみです。
なお、ご近所さんは一度町に出入りすれば復活しますし、家や家具などは耐久度が0になって壊れると元の場所に復活するようになっているので、特に気にする必要もありません。好き放題町を荒らし回りましょう。ただ、商品として売れた人は消えたまま帰ってくる様子がありません。完全消滅した……?
また、拾える武器の性能も面白く、「ガスコンロ」なら物理ダメージ+前方に炎の追加攻撃判定が発生したり、「しかばね」は5%の即死効果があったりと、それぞれ内容に沿った効果が付与されています。剣や斧といった普通の武器も存在しますが、少なくとも序盤はその辺のオブジェで殴るほうが効率的なもよう。
ただし、序盤からこういった強力な武器が手に入るだけに、敵も最初から強め。油断していると、序盤でもサクサク死にます。こまめなセーブを心がけましょう。
なお、現在Twitterでは、「海」を武器として拾うシーンが大きな話題になっています。筆者はまだそこまで進めていませんが、進むほど信じられないものが拾えるようになっていくもよう。
なんでもありなカオスぶり+ローグライクが合わさったこの怪作、久々に「すごいゲームが出てきたなあ」と思わせてくれます。実際なかなか面白いので、一度プレイしてみてほしい一作でした。
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