妊娠8カ月で切迫早産、臨月に入った途端に緊急帝王切開を経験した漫画家のあさのゆきこ(@asayukiyaco)さん。あまり自覚症状のないままに母子に命の危険が迫っていたという体験談を描いた漫画が多くの反響を呼んでいます。ちょっとした違和感が命の危険を知らせるサインかもしれない……。
あさのさんが妊娠8カ月の検診に行ったときのことです。超音波検査では問題なく育っていると言われて一安心しましたが「最近ちょっとお腹が張るような気がするんです」と医師に相談しました。そこで産婦人科医のすすめでノンストレステストをして赤ちゃんの心拍を見ることに。そのときは夫と「帰り何食べる?」などと気楽にごはんのことを話していましたが、医師から告げられたのはなんと「切迫早産で緊急入院」でした。超音波検査も問題なかったし、ちょっとお腹が張る程度と思っていたので、まさかの切迫早産という事態に驚きを隠せませんでした。
その後、無事退院して臨月を迎えた日の夜中。「なんかちょっとお腹張って痛い気がする……」とあさのさんはお腹に違和感を覚え、「念のため」と急きょ夫に病院に送ってもらいます。医師から告げられたのは「胎盤剥がれかけてます。緊急帝王切開します」――ちょっとお腹が張ったと思ったら緊急帝王切開をすることになってしまい、驚くあさのさん。
帝王切開で取り上げられた赤ちゃんの体は真っ白で、産声も上げておらず、誰も「おめでとう」と言うことなく奥へ連れて行かれてしまいました。そのときあさのさんは全身の血の気が引くのが分かったそうです。麻酔で頭が朦朧としながらも、かろうじて奥の部屋から「にゃ〜……、にゃ〜……」という声が聞こえてきて、赤ちゃんが息を吹き返したのが分かりました。赤ちゃんはNICU(新生児集中治療室)のある病院へ転院することに。
あさのさんと赤ちゃんの身に起きたのは「常位胎盤早期剥離」という妊娠後期に起こる病気でした。陣痛が始まっていないのに胎盤が子宮からはがれてしまい、そのため母体は激しい下腹部痛と大量出血を起こし、胎児は胎盤から酸素や栄養が行かなくなってしまいます。母子ともに死に直結する危険な状態です。
あさのさんは早めに気が付いたので助かりましたが、もしも朝まで病院に行っていなかったら母子ともにとても危険な状態となっていたのでした。それでも1.4リットルの失血と6本の輸血がされていたので、早期発見といえど大変な状態だったことに変わりはありません。
切迫早産と常位胎盤早期剥離という2つの大変な症状を経験したあさのさんですが、自覚症状はあまりなかったようです。いずれの場合も「ちょっとお腹が張って痛い」というのをきっかけに「大丈夫だと思うけど念のため」で病院に相談して重大な症状が発見されました。あさのさんはこの漫画を通して「大げさかも……周りに迷惑かもと思っても何かあってからじゃ遅いので、自分の勘を大事にした方がいいと思います。何もなかったらそれはそれでいいじゃないですか」と伝えています。
漫画に続けて投稿したツイートによると、臨月になったその日は、早産抑制の薬を飲んでいたのにお腹が不規則に張ったり、胎動がいつもより弱かったり、便意のような痛みがあったりした程度で、常位胎盤早期剥離でよく聞くような激痛がなかったので病院に行くのは迷ったそうです。そこで病院に連絡していなかったら万が一のことがあったかもしれません。
この漫画には同じように切迫早産と診断された人や緊急帝王切開をした人など、周産期に大変な思いをした人たちからの反響が多く寄せられています。また周産期医療に関わっている人からは、何かあったら病院に相談してほしいという声も届いています。医療技術が進歩したとはいえ、妊娠出産には命の危険が伴うこともあります。お母さんになる人自身だけではなく、周りの人も気を付けてあげたいですね。
生まれた赤ちゃんは「みぞれ」ちゃんと命名され、10カ月経った現在はとても元気に成長しているようです。あさのさんの育児ブログではみぞれちゃんを中心とした育児にまつわるエピソードが掲載されています。また、コミックぜにょんで漫画『はんなりギロリの頼子さん』を連載中です。
画像提供:あさのゆきこ(@asayukiyaco)さん
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