帯広畜産大学(北海道帯広市)は、ベトナム南部のホンカイ島で新種のリスを発見したと発表しました。
ホンカイ島はインドシナ半島から約18キロ離れた場所にある面積4平方キロの小島。2017年にベトナム生物資源・生態研究機関がこの島の哺乳類相を調査し、小型の樹上性リスの生息を確認しました。
同機関と帯広畜産大学環境農学研究部門の押田龍夫教授、京都大学総合博物館の本川雅治教授による共同研究チームが詳細を調べた結果、このリスはタイワンリス属に分類されるものの、インドシナ半島に分布する同属の種に比べて著しく小型であること(体重153グラム/他種の平均は200〜300グラム以上)が判明。DNA塩基配列が大きく異なることから新種のリスとしてアメリカ哺乳類学会の雑誌Journal of Mammalogy8月号に公表しました。
新種のリスの和名は「ホンカイリス(英名:Hon Khoai squirrel,学名:Callosciurus honkhoaiensis)」。これまでにホンカイ島でしか確認されていないことから、この島の固有種である可能性が高いとしています。
ホンカイ島は更新世の氷期にインドシナ半島と長期間地続きであったと考えられており、研究チームは固有の新種リスが生息しているとは予想していなかったとのこと。今回の発見は東南アジアに生息する他の哺乳類の進化史を解明する上で大きく役立つと考えられ、インドシナ半島周囲島しょ部の固有哺乳類種の希少性を検討し、その保全に関する施策を将来的に検討する上でも重要な発見であるとしています。
発表雑誌
雑誌名:Journal of Mammalogy
論文タイトル:A new species of squirrel (Sciuridae: Callosciurus) from an isolated island off the Indochina Peninsula in southern Vietnam
DOI:10.1093/jmammal/gyy061
論文URL:https://academic.oup.com/jmammal/article-abstract/99/4/813/5036103?redirectedFrom=fulltext
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