約70年前、史上初の時速200キロ超えを達成した伝説のバイク「ヴィンセント・ブラックシャドウ」。そんな貴重な名車を日本で目撃、さらにエンジン始動の様子を収めた動画がTwitter上で話題になっています。
動画を投稿したのはTwitterユーザー・あずらいる(Azuraile_Eagle)さん。愛知県新城市にある道の駅で、ツーリング中に停まっていたブラックシャドウを発見し、思わずオーナーに声をかけ動画を撮らせてもらったそうです。
貴重なヴィンテージバイクの始動シーン、なかなかお目にかかる機会はないでしょう。ボタン一つでエンジンがかかるセルフスターターではなく、ペダルを踏み降ろしてエンジンをかけるキック式。1リッターの大排気量ということもあってなかなか大変そうですが、力強いエンジン音に思わずうっとりしてしまいます。
ヴィンセントは、1928年から1959年まで存在したイギリスのオートバイメーカー。年代を考えると車種を問わず現存しているだけでも十分貴重な存在ですが、ヴィンセントのバイクの中でも、1948〜1955年に製造されていた「ブラックシャドウ」は特に歴史に名を残した車種。生産数は約1700台とされ、現在は海外のオークションで数千万円で落札されることもある、まさに博物館級の貴重なバイクです。日本で、さらに走っているブラックシャドウを見かけるのはかなりの幸運といえます。
ブラックシャドウが貴重な存在となっている理由は、当時「世界最速のバイク」として知られたことが大きいでしょう。最高速度は時速200キロを超え、1948年にアメリカのボンネビル・ソルトフラッツで行われた最高速チャレンジでは、時速241キロを達成。同時代に世界最速のクルマの一つとして知られていたスポーツカー「ジャガー・XK120」の最高速度が193キロ(公称値)であったことを考えると、当時としては驚異的な速さと言えます。
あずらいるさんが目撃したブラックシャドウは7年ほどかけてフルレストアされた個体で、複雑な形状のオイルラインやエキゾーストパイプが張り巡らされたエンジン周りも、年代を感じさせないほどにピカピカ。エンジン自体をフレームの一部として使うフレームレス構造やダブルドラムブレーキなど、現代のスポーツバイクとはまったく異なる構造に、「マジでこれで200km/h出すの...…?」と衝撃を受けたとか。
幻の名車「ブラックシャドウ」、ぜひ一度はお目にかかってみたいものです。動いている姿を見るのは難しいかもしれませんが、国内では高知県の「四国自動車博物館」などで静態保存されているブラックシャドウを見られます。
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